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星周一郎

星周一郎認証済み

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東京都立大学法学部教授

報告

見解「人を死亡させた罪」のうち、殺人罪、強盗致死罪など法定刑に死刑のある特に重大な犯罪では、公訴時効は撤廃されています。しかし、同じく人を死亡させた罪でも、法定刑の上限が無期刑の場合は30年、危険運転致死罪など有期懲役(原則最高20年)の場合は20年、それ以外の過失運転致死罪などの罪では10年です。 公訴時効の存在理由には、様々な見解があります。そのうち、時の経過による証拠の散逸等を根拠とする見解は、証拠のデジタル化(防犯カメラのデジタル画像・DNA鑑定結果等)により、時効を認める理由としては弱くなっています。 さらに、「一定期間が経過すれば処罰を免れることができる」という犯人の期待は、法的な保護に値しないと考えられます。 「捜査の手からは逃れられない」と思わせることで、ひき逃げ事件の抑止につなげたい、という切実な思いは、他の犯罪類型の場合とは異なった説得力を持つということもできます。

コメンテータープロフィール

1969年愛知県生まれ。東京都立大学法学部卒業、博士(法学・東京都立大学)。専門は刑事法。近年は情報法や医事法にも研究対象を拡げている。著書として『放火罪の理論』(東京大学出版会・2004年)、『防犯カメラと刑事手続』(弘文堂・2012年)、『現代社会と実質的刑事法論』(成文堂・2023年)、『アメリカ刑法』(訳・レクシスネクシス・ジャパン・2008年)など。

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