見解北海道砂川で発生した、ヒグマ駆除のためのハンターの発砲が違法とされた事案などを契機にしたものと思われます。 記事にもあるように、現行法は、「住居集合地域等」での銃器を使用した狩猟(銃猟)を原則禁止としています。そのような場所で銃猟をする必要のある事態が従来は想定されていなかった一方で、人の生命・身体を危険にさらす行為だからです。しかし、市街地でのクマやイノシシによる被害が多発している状況下、一定の範囲ではそれを認める必要が生じています。 とはいえ、銃猟による人の生命・身体に対する危険が生じないようにすることは、必須の前提条件です。 この法改正案は、「住民の安全確保のため通行制限や避難指示」を可能とする措置の導入などとあわせて、現在の要請に対応するためのものといえます。
コメンテータープロフィール
1969年愛知県生まれ。東京都立大学法学部卒業、博士(法学・東京都立大学)。専門は刑事法。近年は情報法や医事法にも研究対象を拡げている。著書として『放火罪の理論』(東京大学出版会・2004年)、『防犯カメラと刑事手続』(弘文堂・2012年)、『現代社会と実質的刑事法論』(成文堂・2023年)、『アメリカ刑法』(訳・レクシスネクシス・ジャパン・2008年)など。
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