見解SNSや秘匿性の高い通信アプリの普及により、「その場限りの組織犯罪」を行うことが格段に容易になる反面、従来型の組織犯罪対策では対応が困難になってきています。 「トクリュウ」による犯罪は、特殊詐欺などの実行犯だけではなく、犯罪収益を扱うための架空口座(飛ばし口座)の開設・提供など、犯罪インフラの準備などにまで広がっていることが特徴です。 また、比較的資産を有している高齢者などがこの種の犯罪の被害者になりやすい一方、SNSや求人サイトでの目先の「高収入」にひかれて「闇バイト」へ応募してしまう者は、経済的な困窮状態にある人が多いと思われます。 このように「トクリュウ」による犯罪には、社会全体を巻き込んでいくという特徴があるといえます。 対策のあり方について、立法的な整備も含めて考えていくことが必要な局面に至っているのかもしれません。
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コメンテータープロフィール
1969年愛知県生まれ。東京都立大学法学部卒業、博士(法学・東京都立大学)。専門は刑事法。近年は情報法や医事法にも研究対象を拡げている。著書として『放火罪の理論』(東京大学出版会・2004年)、『防犯カメラと刑事手続』(弘文堂・2012年)、『現代社会と実質的刑事法論』(成文堂・2023年)、『アメリカ刑法』(訳・レクシスネクシス・ジャパン・2008年)など。
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