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星周一郎

星周一郎

認証済み

東京都立大学法学部教授

報告

見解ストーカー規制法は、(1)恋愛感情その他の好意の感情、(2)それが満たされなかったことに対する怨恨の感情の、(1)か(2)の感情に基づくストーカー行為を規制対象とします。 弁護側は、(1)(2)のいずれの感情も失っていたと主張しているわけですが、被害者に対する殺意が、特に(2)に基づくものであるのか、裁判員としてはやや困難な判断を求められるかもしれません。 平成12(2000)年のストーカー規制法制定時は、前例のない立法であり、「調査報道で、記者が行う粘り強い取材」などがストーカー規制法の対象にならないよう、「恋愛感情要件」が法律に盛り込まれました。 しかし、単なる怒りの感情や、ネット上で執拗に繰り返される誹謗中傷など、「恋愛感情」とは無関係なストーカー的行為に悩まされる被害者も増加しています。 本件の帰趨とは別に、ストーカー規制のあり方も再検討が必要だと思われます。

コメンテータープロフィール

1969年愛知県生まれ。東京都立大学法学部卒業、博士(法学・東京都立大学)。専門は刑事法。近年は情報法や医事法にも研究対象を拡げている。著書として『放火罪の理論』(東京大学出版会・2004年)、『防犯カメラと刑事手続』(弘文堂・2012年)、『現代社会と実質的刑事法論』(成文堂・2023年)、『アメリカ刑法』(訳・レクシスネクシス・ジャパン・2008年)など。

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