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服部倫卓

服部倫卓

認証済み

北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター教授

報告

解説モルドバのEU加盟の方向性は既定路線であり、国民投票の実施は、一見するとそれに向けた一歩として、ポジティブな動きのように思える。しかし、実は、親欧米派の間でも、国民投票実施を疑問視する向きが多い。 第1に、欧州統合という大義を、現職のサンドゥ大統領が自らの得票率向上のために利用するのはフェアでないという、もっともな声が多い。 第2に、手順がおかしいという指摘である。EUとの加盟交渉が妥結した時点で国民投票をするのは「あり」だが、これから交渉を始める時点での国民投票は無意味という声がある。 第3に、国民投票をするからには、投票者でなく、有権者の過半数の支持が得られなければ、国民的支持が得られたとは言いがたい。現時点でのモルドバ世論にはそこまでのコンセンサスがなく、国民投票の結果次第では、EU加盟という国是にかえって傷をつけかねないという指摘がある。

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コメンテータープロフィール

服部倫卓

北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター教授

1964年静岡県生まれ。主な著作に、『不思議の国ベラルーシ ―ナショナリズムから遠く離れてー』、『ウクライナを知るための65章』(共編著)など。趣味は音楽鑑賞(主に1950~1970年代のソウル、ロック、ポップス)と、サッカー観戦(清水エスパルスのサポーター)。

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