補足記事中にもあるように、ネット投票というとエストニアの事例が有名です。有権者はコンピュータで読み取り可能な国民IDカード(と暗証番号)を持っているので、カードリーダがあれば世界中どこからでも投票できます。ネット投票で懸念されるのは物理的に脅迫されて誰かへの投票を強制させられるということですが、複数回の投票が可能で記録されるのは最後の投票ということで、投票先は事後的に変更できるようです。ただ、セキュリティ専門家からは長年にわたりかなりの技術的不備が指摘されており、なかなか難しいようですね。また、ネット投票は遠隔地の投票率を高める一方、所得の高い地域に住み高等教育を受けている上層階級とそうではない下層階級の間のデジタルディバイドを助長するという指摘もあります。
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コメンテータープロフィール
1979年東京生まれ。東京大学経済学部卒、同大学院経済学研究科博士課程単位取得満期退学。一般財団法人知的財産研究所特別研究員を経て、現在駿河台大学経済経営学部教授。専攻は経営組織論、経営情報論。Debian公式開発者、GNUプロジェクトメンバ、一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)理事。Open Knowledge Japan発起人。共著に『日本人が知らないウィキリークス』(洋泉社)、『ソフトウェアの匠』(日経BP社)、共訳書に『海賊のジレンマ』(フィルムアート社)がある。