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郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士

報告

一般のマネロン(資金洗浄)は、原資や資金の流れを隠すことが目的ですが、京都府連の選挙資金マネロンは、「候補者が京都府連に寄附し、それを原資に府連が各議員に交付する」という方法で政治資金規正法上「合法な寄附」にすることが目的です。問題は、それによって公選法上の「買収」に該当しないことになるのかどうかです。公選法221条1項1号の買収の禁止規定では、「当選を得させる目的」で、「選挙運動者」に金銭を「供与」すれば買収罪が成立します。「当選させる目的」は明らか、判例上「選挙運動」は「特定の公職選挙の特定の候補者の当選のため直接・又は間接に必要かつ有利な一切の行為」とされており、「党勢拡大のための政治活動」のためであっても、特定の選挙のための活動を目的としていれば「選挙運動者」に当たります。また、使途を限定しない金銭提供である以上「供与」に該当します。このマネロンでは公選法上の違法性は解消できません

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コメンテータープロフィール

郷原信郎

郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士

1955年、島根県生まれ。東京大学理学部卒。東京地検特捜部、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官などを経て、2006年に弁護士登録。08年、郷原総合コンプライアンス法律事務所開設。これまで、名城大学教授、関西大学客員教授、総務省顧問、日本郵政ガバナンス検証委員会委員長、総務省年金業務監視委員会委員長などを歴任。著書に『歪んだ法に壊される日本』(KADOKAWA)『単純化という病』(朝日新書)『告発の正義』『検察の正義』(ちくま新書)、『「法令遵守」が日本を滅ぼす』(新潮新書)、『思考停止社会─「遵守」に蝕まれる日本』(講談社現代新書)など多数。

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