解説刑務官の責務は、罪を犯した者を更生に導くことにより再犯を防止し、安心・安全な社会を築くことにあり、刑務官は、その使命感に基づいて職務に取り組んでいる。 記事が指摘する通り、収容者に対する人道的教育を目指す刑務官の責務と、死刑執行の職務は、矛盾する。 ほとんどの刑務官は生涯、死刑執行に関わることはない。ごく一部の刑務官のみがこの職務に携わることになり、過大な精神的負担から、実際の執行現場は過酷である。 実際、検察官として死刑に立ち会った土本武司氏は「正視に堪えない。限りなく残虐に近いもの」と証言している。 死刑執行の人員確保等等の事前準備は容易ではなく、日本での死刑執行数は、年間ほぼ数件以下であり、100人を超える死刑確定者が、滞留状態にある。 法の執行という観点から見ても、現状の死刑制度に問題があることは否めないように思われる。
コメンテータープロフィール
北海道出身。平成6年早稲田大学法学部卒業。平成8年司法試験合格。平成11年検事任官。東京地検,札幌地検岩見沢支部長等を赴任。平成22年検事退官。同年釧路弁護士会弁護士登録。一般刑事・民事・家事事件全般を取り扱う。
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