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第1回ノンフィクション本大賞
『極夜行』
角幡唯介(文藝春秋)

受賞の言葉/角幡唯介氏(ノンフィクション作家、冒険家)
角幡唯介さん近影冒険行動はきわめて個人的な動機に基づく営為ですが、しかし個人的営為であるだけに、その根底を深く掘り下げれば実存や生き方に関する何らかの普遍性に行き当たります。なぜなら私という一人の人間の表皮を一枚ずつめくったその最奥には、人類の普遍性しか残らないはずだからです。他者の関心をひきそうな分かりやすいテーマは敢えて無視し、自分はなぜそれをやるのか、その極私的な部分だけに焦点をあてて分析し、行動し、これまで本を書いてきました。『極夜行』はそれが一番うまく表現できた最高傑作だという手応えがあり、今回の受賞には今までにない喜びを感じています。
ノミネート作品一覧
  • 一発屋芸人列伝 山田ルイ53世(新潮社)

    輝いた時代は終わる。それでも、人生は続く。レイザーラモンHG、テツandトモ、ジョイマン、ムーディ勝山、波田陽区......世間から「消えた」芸人のその後を、自らも髭男爵として"一発を風靡した"著者が追跡取材。波乱万丈な人生に泣ける(でもそれ以上に笑える)、不器用で不屈の人間たちに捧げるノンフィクションです。

    新潮社さんからのコメント

  • 軌道 福知山線脱線事故 JR西日本を変えた闘い 松本創(東洋経済新報社)

    妻と実妹を奪われ、娘が重傷を負わされた遺族の淺野弥三一。事故後、子会社から呼び戻され、加害企業の社長となった山崎正夫。相反する立場の2人は巨大組織を変えるためにどう闘ったのか。あの事故から始まった13年間の「軌道」を描く。交錯する二つの戦後と日本企業の断面を抉りとった迫真の組織論ノンフィクション。

    東洋経済新報社さんからのコメント

  • 極夜行 角幡唯介(文藝春秋)

    「ただ北極を歩きましたというだけでは何も書けない、自分の行動とは別のテーマが必要」(著者)――そのテーマが"極夜"だった。太陽が昇らない冬の北極で4カ月、そこで感じた不安や焦り、絶望を通じて極夜を表現した作品。それは作家と探検家としての「最高到達点」で成功しており、読者は自ずと暗闇に引き込まれていき、極夜の旅を追体験できる。

    文藝春秋さんからのコメント

  • 告白 あるPKO隊員の死・23年目の真実 旗手啓介(講談社)

    「息子がどのような最期を遂げたのか」―― 日本が参加したPKOの地・カンボジアで一人の隊員が亡くなったが、真相は23年間封印され、遺族にも知らされなかった。文化庁芸術祭賞優秀賞を受賞したNHKスペシャル待望の書籍化。50時間ものビデオ映像が明らかにした「国連平和維持活動の真実」とは。

    講談社さんからのコメント

  • 日航123便墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る 青山透子(河出書房新社)

    日本航空123便墜落事故から33年、今なお事故原因が解明しつくされていません。本書は、当時同僚だった元客室乗務員の著者が、目撃された戦闘機の追尾、墜落現場特定と救助はなぜ遅れたのか、事故原因はなぜ意図的に漏洩されたのか──等を中心に証言を集め、根拠を明らかにして事故の真相に迫る渾身のノンフィクションです。

    河出書房新社さんからのコメント

  • ノモレ 国分拓(新潮社)

    嘘みたいな本当の話です。1902年、ペルー・アマゾンの深い森の奥、ゴム農園で奴隷にされた先住民が二手に別れ、命がけで逃げた。100年の時を経て、〈再会の約束〉は叶えられるのか。アマゾンの匂い、音、色彩、時間、すべてが詰まった前人未踏のノンフィクション。この著者であっても、二度と書けない傑作です!

    新潮社さんからのコメント

  • Black Box ブラックボックス 伊藤詩織(文藝春秋)

    ジャーナリストを目指し、TBSワシントン支局長に就職の相談をしていた著者。会食中に記憶を失い、気づいたら支局長が泊まるホテルのベッドにいた――消極的な警察の対応、逮捕当日の現場に突然かかった「上からのストップ」。混乱のなか事実を追い求め、傷つきながら辿り着いた真実とは。NYタイムスやBBCも報じた革命的手記。

    文藝春秋さんからのコメント

  • モンテレッジォ小さな村の旅する本屋の物語 内田洋子(方丈社)

    人々にとって、まだ本が遠い存在だった時代。イタリア、トスカーナの山深い村から、本を担いで旅に出た人たちがいた。ダンテ、活版印刷、禁断の書、ヘミングウェイ......。本と本屋の原点を求め、一年にも及ぶ現地取材を経て完成させた、著者渾身のノンフィクション!

    方丈社さんからのコメント

  • ユニクロ潜入一年 横田増生(文藝春秋)

    著者が一年にわたりユニクロの店舗に実際に働き、潜入取材した全貌を書き下ろしました。サービス残業、働き甲斐搾取、強引なシフト......読む者をまさにユニクロのバックヤードへと誘うかのような現場感に溢れたルポルタージュには、カリスマ経営者に翻弄される人々の姿がどこかユーモアすら内包した筆致で描かれています。

    文藝春秋さんからのコメント

  • 43回の殺意 川崎中1男子生徒殺害事件の深層 石井光太(双葉社)

    2015年2月20日、神奈川県川崎市の多摩川河川敷で13歳の少年が殺害された。 全身にはカッターナイフで切り付けられた傷が43カ所。遺族、友人、加害者家族ら多くの人に深い傷を残した事件は、なぜ起きたのか。ままならない日常、そこで抱く葛藤や焦燥、探す拠り所――かけがえのない命を奪った事件の発火点は、私たちの日常と異なるのか。

    双葉社さんからのコメント