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ソチ五輪にも出場した野球の米国代表選手が満喫する東京五輪選手村の充実した日々

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
ソチ五輪に続き東京五輪でメダル獲得を狙うエディ・アルバレス選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【野球の米国代表選手が日記を公開】

 唐突だが、エディ・アルバレス選手をご存知の方はおられるだろうか。

 実は昨年3月になるのだが、当時マイナー契約の招待選手としてマーリンズのスプリングトレーニングに参加していた加藤豪将選手(現パドレス傘下)と開幕メジャーを争う内野手として、アルバレス選手を本欄で取り上げさせてもらっている。

 その際にもアルバレス選手のユニークな経歴を紹介しているが、彼はプロ野球選手になる前に、ショートトラックスケート選手の米国代表としてソチ五輪に出場し、5000メートルで銀メダルを獲得している。

 そんなアルバレス選手が今度は野球で米国代表に選ばれ、現在日本に滞在しているのだ。

 彼はMLB公式サイトで五輪日記を公開しており、7月28日付の日記で選手村の充実した生活ぶりを報告している。他の五輪を体験しているアスリートから見た貴重な意見だと思い、その内容を紹介していきたい。

【カフェテリアはソチより質が上】

 まずアルバレス選手は現在の選手村での日常を報告した後、真っ先にカフェテリアの充実ぶりを報告しており、「ソチの時より満喫している」と喜んでいる。

 彼によれば、メニューの豊富さという点ではソチの方が上回っていたようだが、ラテン系料理(アルバレス選手はマイアミ出身のキューバ系米国人)に関しては、かなり質が高いと驚いている。

 また米国人にとっては定番のパスタ、ピザ、マッシュポテト、ステーキ、バーガーなども揃っていること、豆(あずきだと考えられる)を使ったデザートがあることなども報告している。

 さらにアルバレス選手は日本食も堪能し、寿司を一度食べただけでなく、寿司コーナーに隣接する麺および天ぷらコーナーは何度も利用していると説明している。

【娯楽エリアには卓球台やマッサージチェアが】

 アルバレス選手は、カフェテリア以外にも積極的に選手村を探検している。

 選手村の2階は娯楽エリアになっており、卓球台やダーツが置かれ、さらに日本ならではのマッサージチェアも用意されているという。さらに3階にはウェート場が設置されており、いつでもトレーニングできるようになっているようだ。

 また選手村の外(あくまで選手が行動できるバブル内)には、五輪のオフィシャルショップ、コンビニ、ネールサロン、ヘアサロンも用意されている。この一角はすべて木材を使用して建設されているようで、アルバレス選手は「ミニチュアタウンに来たようだ」と、その印象を語っている。

 そしてアルバレス選手を驚かせたのが、選手村内を走る無人ドライバーのシャトルバスだ。車内にいる担当者がボタンを押すだけで、ルートを外れることなく目的地に移動すると驚いている。

【選手村の設計についても好評価】

 アルバレス選手によれば、選手村のすべての部屋にテレビが設置されているわけではないようだが、彼ら(米国代表チーム)専用のラウンジルームが用意されており、大型テレビやソファが置かれているため、野球チーム全員でソフトボール決勝戦を観戦したと報告している。

 またバルコニーにはハンモックなども置かれ、アスリートがゆったりできるスペースだとも説明している、他競技のアスリートとも遭遇することができたようで、メダル獲得した選手たちからモチベーションをもらっているとも認めている。

 さらにアルバレス選手は、選手村の設計についても好印象を得ているようだ。

 ソチ五輪の選手村は建物が一列に並んでおり、各棟の間で距離感があったと感じたが、東京五輪の選手村は各棟が円を描くように建てられており、他の棟にいる他国代表チームの様子が確認でき、庭でストレッチしている他チームを目撃できるなど、そうした光景も楽しんでいるとしている。

 また選手村はウォーターフロントにあることから、アルバレス選手の故郷であるマイアミに似ているとも評している。

【メダル獲得なら五輪史上6人目の快挙】

 さてアルバレス選手は野球の米国代表としてメダルを狙っており、金メダルが期待されている侍ジャパンにとって最大のライバルと目されている。

 もし米国代表が何らかのメダルを獲得できれば、アルバレス選手は五輪史上6人目の夏季五輪、冬季五輪の両方でメダルを獲得するという快挙を達成することになる。

 今後もアルバレス選手の日記を楽しみにしたいと思う。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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