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500人のファンの前で現役続行宣言!無理をせずグラウンドに立ち続ける川﨑宗則の無垢な野球愛

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
松中信彦氏(右)松田宣浩氏(左)とトークショーを開催した川﨑宗則選手(筆者撮影)

【ムネリンが福岡でトークショーに参加】

 ムネリンの愛称で知られる川﨑宗則選手が12月14日、福岡市民会館でホークス時代の先輩・松中信彦氏、後輩・松田宣浩氏とともにトークショーを開催した。

 今回のイベントは松中氏の呼びかけで実現。この3人でトークショーを実施するのは初ということもあり、会場には県内外から約500人のファンが集結し、3人の軽快なトークを楽しんだ。

 中でも川﨑選手は、終始ファンを笑顔にさせる“ムネリン節”を炸裂。途中トイレを我慢できず舞台上から退席するアクシデントもあったが、時には席を立ち身振り手振りを交えながら熱弁を振るい、最後までファンを盛り上げていた。

【トークショー終盤の挨拶で堂々の現役続行宣言】

 トークショー終盤で3人が挨拶に立つことになったのだが、川﨑選手からユニークなプランが飛び出した。

 「本当に楽しかったです。またやりたいですね。来年44歳になりますが、現役を続けるつもりなので、今度は3人でファンと一緒に運動会やりましょう!」

 あまりに突拍子もないアイディアに、すでに現役引退した松中・松田両氏を含めファンは笑うしかなかった一方で、川﨑選手の口から来シーズンも現役続行することが明らかになり、会場は温かい拍手に包まれた。

【NPBでは石川雅規投手に次ぐ高齢に】

 トークショー後に川﨑選手を直撃したところ、地元福岡で多くのファンとの触れ合いを満喫していた。

 「松中先輩から『(トークショーを)やるぞ』と言われたので楽しみにしていたのですが、本当に楽しかったです。昔の話だけでなくそれぞれの野球観についても披露できましたし、ホークスで頑張ったおかげでこうして声をかけてもらったと思っています。本当にいい時間でした」

 そして改めて川﨑選手に、現役続行について確認してみた。

 「来年44歳になりますけどまだ体は動きますし、今日も明日もトレーニングをやっています。今は契約してくれるチームを待つという状況です。現役はどこでも続けたいと、自分でチームをつくってでもやりたいと思います」

 今オフは1年先輩の和田毅投手、同期の青木宣親選手が相次いで現役引退を表明し、NPBの世界で考えると、川﨑選手は石川雅規投手に次ぐ年齢で現役を続行する表明をしたのだ。

「足が速くなりたい」と相談してきた野球少年に実演しながら説明する川﨑宗則選手(筆者撮影)
「足が速くなりたい」と相談してきた野球少年に実演しながら説明する川﨑宗則選手(筆者撮影)

【川﨑選手「そこは加齢へのチャレンジですね」】

 現在の川﨑選手は2020年以降独立リーグを主戦場にしており、NPBとの比較対象は相応しくないのかもしれない。だが彼はNPBチームからオファーを受けながらも、自らの意思で独立リーグの道を選択したのは紛れもない事実であり、ファンにプレーを披露し給料を得ているという点ではプロ野球選手であることに何ら変わりはない。

 その上で来シーズンも現役続行を目指し、トレーニングを続けていることに計り知れない重みがあるだろう。

 「今も野球が好きなので、プレーを続けながらまだまだ色々なことを経験したいです。ただ40歳を超えてどういう風に体が変化していくのかを感じていくしかないですし、そこは加齢へのチャレンジですね。

 投げるのがしんどくなっています。今まで感じたことがないくらい、投げると本当に肩が痛くなりましたね。その辺もトレーニングと体のケアをしながら、投げる量を少なめにして強い球を投げられるように取り組んでいます。

 野球をしながら現場の空気を吸っていたいですし、プレーヤーとしてどこまでできるのか見極めていきたいです」

 この辺りが、川﨑選手がグラウンドに立ち続ける真意なのだろう。

【現役続行に強いこだわりがないのがムネリン流】

 だからと言って川﨑選手は「○歳まで現役を続けたい」というような決意はまるでない。あくまで自然体であることを強調する。

 「全然長くやりたいとは思ってないです。いつでも辞めていいと思っているからこそ野球を続けられていると思います。

 僕の場合は独立リーグという舞台で、自分、体と向き合って、そして契約してくれるチームが存在するなら、そのチーム方針に従ってプレーを続けていくだけです。

 あくまで予定は未定です。来年になったら辞める可能性も十分にあります。固い決意はありませんし、そんな風に縛られるつもりもありません」

 川﨑選手がグラウンドに立つ勇姿をいつまで見られるのだろうか。ただ最後の瞬間まで彼を追いかけ続け、今後も報告していきたいと思う。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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