インド月探査機チャンドラヤーン2、7日早朝に月着陸へ
2019年9月7日早朝、インド宇宙研究機関ISROは、インドの月探査機Chandrayaan-2(チャンドラヤーン2)の着陸機Vikram(ヴィクラム)による月の南極域着陸を実施する。ヴィクラム着陸機は9月2日に周回機からの分離に成功しており、日本時間7日午前4時30分からエンジン噴射による月面への降下を開始する。着陸は午前5時~6時ごろに予定されている。
9月6日、ISROはチャンドラヤーン2の周回機とヴィクラム着陸機が会話するコミックをツイート。分離したヴィクラム着陸機を見送り、周回機が「幸運を祈るよ! 早く月の南極に到着できるといいね!」と健闘を祈るメッセージを送る様子が描かれた。
7月22日に打上げられたチャンドラヤーン2は、2009年のチャンドラヤーン1に続く、インド2回目の月探査計画。サンスクリット語で「月へ行く乗り物」を意味し、インドで初めて月の南極域への軟着陸を実施する。着陸機「ヴィクラム」は、インド宇宙工学の父で初代ISRO所長のヴィクラム・サラバイ博士にちなみ、ヴィクラム着陸機から分離されるローバーのPragyan(プラギヤン)はサンスクリット語で「知恵」「知識」を意味する。
打上げから約1カ月の旅を経て、チャンドラヤーン2は8月20日に月周回軌道への投入に成功した。その後9月2日には着陸機の分離に成功し、ヴィクラム着陸機は近月点119キロメートル、遠月点127キロメートルの軌道に投入された。
ISROは周回機、着陸機ともに探査機の状態は正常と発表している。8月20日には、周回機に搭載されたTerrain Mapping Camera 2(TMC-2:地形マッピングカメラ2)が月の北極域を撮影。直径71.3キロメートルの「ジャクソンクレーター」やインドの物理学者にちなんで名付けられた「ミトラクレーター」、直径437キロメートルの「コロリョフクレーター」、ドイツの物理学者にちなんで名付けられた「ゾンマーフェルトクレーター」などを撮影した。
ヴィクラム着陸機が目指す場所は、月の南極で南緯70度付近にある2つのクレーター「マンチヌス C」と「シンペリウス N」の間の領域だ。ローバーのプラギヤンは、日本時間で7日午前9時~10時ごろにヴィクラム着陸機から放出される。地球時間で14日ほど、月面を500メートル程度走行しながら探査を行う予定だ。
ISROの解説動画によると、着陸シーケンスではまず着陸機は4基のエンジンを噴射しながら速度を落とす。続いて高度100キロメートルから降下を開始し、目標地点587キロメートルまで接近し、高度は30キロメートルとなる。精密誘導フェーズに移行し、着陸脚が下側になるように姿勢を変更。位置情報検出カメラとレーザー高度計、KA帯高度計の情報を元にして速度をコントロールする。位置情報検出カメラで着陸地点を探査し、2基のエンジンを噴射しながら水平速度検出カメラと高度計の情報を元にホバリングを行う。高度400メートルから降下し、危機検知カメラなどの情報を元に最終着陸目標地点を目指す。高度10メートルで中央のエンジンを噴射、着陸脚に搭載されたタッチダウンセンサーが着地を検出すれば月面到達となる。
ISROサイトでは、着陸ミッションを行う管制センターからの中継を行う予定だ。