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プロ野球キャンプ、ハードな反復練習で得られるもの…「量」をこなした先に理想のフォームがある

上原浩治元メジャーリーガー
(写真:ロイター/アフロ)

 2月1日にキャンプが始まった日本のプロ野球。巨人の主力組が中心の「S班」が沖縄入りする前、菅野智之投手や坂本勇人選手らが調整する東京ドームへ足を運んだ。ユニホームを着ず、練習時間も短い。自主トレの延長のような雰囲気だったのは、彼らが、言われなくても目的意識を持ち、テーマを持って練習できる選手たちだからだ。

 12球団共通で言えることだが、8割、9割の選手はそうはいかない。キャンプの意義は何か。メジャーと違い、約1カ月も練習中心のメニューを組む日本球界では「鍛える」に主眼を置ける絶好のチャンスだ。

 1日1000スイングの打ち込み、キャンプ期間中に2000球の投げ込み・・・。かつてはこんな数字が当たり前だったように思う。最新のトレーニング器具が揃い、ボールの回転数まで機械が計測してくれる時代。野球の動作を反復する練習が「時代遅れ」のように指摘されるが、果たしてそうなのか。

 けがをしないために練習量を減らすのがいいのか、けがをしないために練習量を積むのがいいのか。個々のコンディションもあれば、チームの方針もあるだろうが、近年は前者の傾向が強まっているように感じる。キャンプ中の投げ込みで肩や肘に疲労が蓄積してくると、力みのないフォームでしか投げられなくなる。このときのフォームこそが「理想のフォーム」になっていく。肩、肘が張ったからやめてしまっては、自分のフォームにたどりつけないこともある。

 若手選手たちの全体的な練習量の低下は、「メジャー式」「最新」などの言葉、報道に左右されていないか。「手を抜く」ところだけ都合よく解釈していないか。近年もシーズン中にけがをする選手は減っていない気もする。

 プロ野球人生は長いようで短い。芽が出るのを待ってはくれない。限られたポジションを奪わないといけない。死守しないといけない。同じメニューで主力やレギュラーに肩を並べられるだろうか。追い抜けるだろうか。量をこなすことが「スパルタ」になるのであれば、他のアイデアをひねり出してもいい。何をプラスできるか。シーズンを占う大事な1カ月になる。

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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