マイナス金利解除やイールドカーブ・コントロール撤廃を含めた金融政策正常化に向けた下準備が着々と進行中
3月18、19日に日銀金融政策決定会合に向けて、金融政策の正常化に向けた準備が進みつつあるように思われる。
日銀が3月18、19日に開く金融政策決定会合で、一部出席者がマイナス金利政策の解除が妥当だと意見表明する見通しであることが6日、分かったと時事通信が伝えた。
政策委員9人のうち、少なくとも1人がマイナス金利解除が適切だと主張したそうである。記事では1人となっていたが、少数意見だと主張したいのではなく、「少なくとも」1人であることを示したかったのではなかろうか。
日銀の正副総裁、審議委員で構成する過去に政策委員が独自の見解を事前に示すといったことがあったであろうか。あまりその記憶はない。もしその一人が正副総裁の、いわゆる執行部であったことは考えづらい。そうなると審議委員だが、最も考えられるのが田村審議委員だが、どうして事前に表明する必要があるのか。ここはむしろマイナス金利政策解除を織り込ませるためのものと考えれば、先日、講演した高田委員などの可能性もある。
中川審議委員は7日の講演で、様々な不確実性が存在するためにその経済・物価見通しにおけるリスクについて述べていた。そして、わが国の経済・物価情勢は、2%の「物価安定目標」の実現に向けて着実に歩を進めていますと踏み込んだ発言もあった。
「今後、仮に2%の物価安定目標が見通せる状況に至ったと判断され、金融政策を見直すことになった場合には、この間に導入された、イールドカーブ・コントロールのほか、リスク性資産の買入れなどの政策手段について、金融市場への影響とともに、これらが非伝統的なものであることも念頭におきながら議論が行われ、修正要否について判断することになると考えています。」
イールドカーブ・コントロールについては、29日の高田審議委員も「イールドカーブ・コントロールの枠組みの解除」も選択肢に挙げていたこともあり、日銀執行部はどうやら、イールドカーブ・コントロールの撤廃も考慮しているように思われる。
こういった日銀の動きに対し、一部の政府関係者は日本銀行が3月か4月の金融政策決定会合でマイナス金利を解除することへの容認姿勢を示しているとの報道もあった。
3月19日の金融政策決定会合では、イールドカーブ・コントロールの撤廃を含めた正常化に向けた決定がなされる可能性がいよいよ強まってきたように思われる。