弁当やおにぎり、調理パン…中食系主食の購入性向をさぐる(2024年公開版)
さまざまな環境変化で食生活の上で中食への注力が目立つようになった。お弁当やおにぎり、調理パンなどのような「中食に該当する主食系の食事」の購入性向はどのような実情なのだろうか。総務省統計局による家計調査の結果(年次分は2023年分が最新)から確認する。
今回スポットライトを当てる対象項目は「主食的調理食品」のうち「弁当」「すし(弁当)」「おにぎり・その他」「調理パン」「他の主食的調理食品(冷凍食品も含む、他の選択肢に該当しない主食的な調理食品。中華まん、お好み焼、たこ焼、各種グラタン、レトルト食品など)」とする。なお、お菓子の類(「菓子類」の分類。ようかんやまんじゅう、カステラ、ケーキなど)も購入実情を考えれば中食に相当するが、主食ではないので今回は考察からは除外する。
まずは月あたりの世帯購入頻度(※)。二人以上世帯の場合は夫か妻の片方どちらか、さらには子供が購入しても(子供の小遣いでの調達までは「家計」にはカウントされないため、あくまでも「世帯全体のお財布から買った」もののみ)購入世帯として該当することになる。
月あたり単身世帯は平均2.2回ほど、二人以上世帯もほぼ同じく2.2回近く弁当を購入している。わずかだが、イメージ通り単身世帯の方が購入性向が強い。一人暮らしをしている人は自分の経験と比べて「この値、少なめではないか?」との感想を抱く人もいるかもしれない。しかし今件は都心部に限らないこと、高齢者まで含まれていることを思い返せば、納得できるはず。
そして弁当だけでなく、おにぎり・その他も単身世帯の方が購入性向は強い。単身世帯における、中食を多用した食事事情がすけて見えてくる。
一方で同じお弁当でもすし(弁当)や、調理パン、他の主食的調理食品は二人以上世帯の方が多い。例えば一人暮らしの人がピザのオーダーをしても、一度に食べ切るのは難しいことを考えれば、二人以上世帯の購入性向が強いのも納得がいく。
これを金額ベースで見たのが次のグラフ。二人以上世帯では一人あたりの額も試算して、グラフを併記しておく。もっとも子供と大人では消費性向が異なるため、それを平均化しても大きな意味はない。あくまでも参考値程度。
おにぎり・その他は単身世帯と二人以上世帯でほぼ同額、それ以外は二人以上世帯の方が金額的に大きなものとなる(世帯単位で見た場合)。他方、一人あたりの金額で見るとすべての項目において単身世帯の方が大きな値となる。一人あたりで考えれば単身世帯は二人以上世帯以上に、中食に傾注していることが分かる。
単身世帯の数そのものが増加傾向にあることはすでに複数の調査結果で明らかにされている。例えば厚生労働省の国民生活基礎調査によれば、2023年時点の単身世帯数は1849万5000世帯に達している。
スーパーや小売店、各種食品販売企業で、お弁当やおにぎりをはじめとした、小口の商品、一人用の食材、使い切りを考慮したパッケージによる商品が増えてくるのも、理解できる。
さらに今後は高齢層人口の増加や晩婚化=需要増加に伴い、少量パッケージの需要はますます増加する。単身世帯向けの中食用商品のうち、特に需要が大きい弁当、他の主食的調理食品部門で、従来品よりも量が少なめの商品展開が一層活発化することだろう。
また、新型コロナウイルスの流行という特殊事情で一気に拡大した中食需要が、流行の沈静化・平穏化後も、ある程度は継続する可能性が高い。これもまた、中食用商品の需要における大きな要素に違いない。
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※世帯購入頻度
世帯単位での月あたりの購入頻度。例えば特定の世帯において該当期間中に誰かが2回雑誌を購入すれば、その世帯の期間中の世帯購入頻度は200%になる。非購入世帯も含めての計算であることに注意。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
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