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東京都台東区/50年超の歴史!店上に神社!壁全面に驚安メニュー!朝営業!鶯谷を象徴する名酒場・信濃路

デヤブロウ街歩きWebライター(東京都台東区)

 今回は鶯谷の大衆居酒屋「信濃路」をご紹介。多くの居酒屋やバーが密集する鶯谷でも、一際目を引く代表的なお店です。
 創業は昭和47年(1972年)創業と長い歴史を誇り、その名が雑誌などに掲載されることも度々。また、圧倒的なメニューの多さ&安さに加えて、駅からのアクセスが良く、その独特すぎる立地も含めて、個性のごった煮みたいな楽しいお店ですよ!

◆昭和→平成→令和、鶯谷駅前で歩んだ半世紀以上の歴史

 「信濃路」は鶯谷駅北口を出て、右方向に歩いてわずか1分未満で着と超駅近。

 まずお客さん迎えてくれるのは、赤提灯と紫色の店名看板。この風貌からして「これぞ鶯谷」「これぞ夜の繁華街」という貫禄ですね…!初めての方は少し気圧されるかもしれませんが、一歩足を踏み入れれば、店内には明るく賑やかなので、ご安心ください。

 店の入り口には「昭和四十七年創業」の文字。2023年現在から遡って50年以上も昔です。
 丁度この昭和47年(1972年)、日本社会は多くの大きな転機を迎えました。札幌での冬季オリンピック開催、あさま山荘事件、沖縄県の日本返還、日中国交正常化など、歴史に名を刻むようなイベント・事件の連続。高度経済成長が終わりに近づき、学生運動も下火となり、まさに時代の移り変わりと呼ぶべき一年でした。
 そんな騒々しい空気の中、リリースされたばかりの井上陽水「傘がない」などを口ずさみつつ、新たに開業したばかりの「信濃路」に来店したお客さんも多かったりして…といった想像が弾みます。

◆お店の真上がパワースポットという激レアな個性持ち

 「信濃路」には驚くべき特徴が、もうひとつ。

 お店を裏口から眺めると、その上には何やら厳かな和風の建物が乗っかっています。こちらは何と、18世紀に創建された元三島神社!地域の住民や商店・飲食店の方々に愛されている、由緒正しいパワースポットです。
 「神社の真下に居酒屋」という一見カオスな状況に、まさに鶯谷らしさが最もよく現れていると言えるでしょう。「信濃路」で飲んでいるだけでもじんわりと御利益があったりして…なんて事も何となく期待してしまいます。

 さらに興味深いことに、元三島神社の現在の社殿は昭和51年(1976年)に建てられたもの。つまり建物だけを見れば、実は「信濃路」の方が先輩なのです。まるで鶯谷という街の歴史を物語る地層を見ているような気分にもなります。

◆店内壁面を埋め尽くす激安メニューの数々!

 「信濃路」の歴史に思いを馳せるのはこの辺りにして、お店に入ってみましょう。

 店内に足を踏み入れると、まず長いカウンター席が目を引きます。

 さらにその反対側にもカウンター席が配置されている、独特な構成が印象的。

 細長い店内の奥にはテーブル席と座敷も備わっています。

 …ここまで店内の写真を見ての通り、壁面にもカウンターにも、至る所にメニューがびっしり!その数は数十から百近くだとか。その豊富さに初めての人は圧倒されることでしょう。
 メニューの全てを網羅するのはよほど何度も通い詰めないと至難の技ですが、多様なメニューから自分好みの一皿を発見する楽しみもあります。

 一部の煮物系メニューはカウンター上の棚に、大皿に盛られた状態でセットされているので、迷った時にとりあえずコレを頼むのも一つの手です。

 また、「信濃路」のメニューはその大半が500円未満という低価格帯!お財布にも非常に優しいのが魅力です。

 元々はそば・うどんがメインだったという歴史もあり、麺類メニューも充実しています。飲み会の後の〆にぴったりな麺料理を、こちらも低価格で楽しめますよ。

 個人的には結構なビール好きなので、ビール大瓶が590円という所が非常に嬉しいポイント。ただし注文すると、カウンターと棚の間から斜めにヌッとビール瓶が出てくるので、受け取る際に若干の注意が必要です。

◆安価ながら料理は美味しく、酒に合う

 数あるメニューの中から、今回はこちらを頼んでみました。

 もつ煮(400円)、肉じゃが(350円)はカウンターの棚に見えていて気になったのでチョイス。

 どちらも良く煮込まれていて、いかにも居酒屋の煮物という、ビールにも日本酒にも合う濃い目の味つけ。

 焼なす(400円)、つぶ貝わさび(450円)は「オススメ!」の表記につられて注文。

 若干クセのある味ながら、ゆったり少量をつまむのに丁度いい風味です。

 牛カルビ(400円)を頼むと牛肉入り野菜炒めのような印象。400円でこの量はかなりお得感あり。

 牛カルビの風味と野菜のシャキシャキ感が程よくマッチしています。

 〆のかき揚げそば(380円)は、そのお値段に対してかなり本格的な味わいと量。

 かき揚げも美味しく、普通のそば屋で食べるのより200〜300円は得した感じになります。

◆鶯谷の「おはよう」から「おやすみ」までを見守る名店

 以前の「信濃路」は24時間営業でも知られているお店でした。現在は日を跨いだ時間は営業していませんが、それでも早朝7時から深夜まで営業しているというのは非常に貴重。この広い営業時間ゆえに、多様なニーズに応えているのが魅力です。

 たとえば、朝食代わりにサッとそばだけ食べて行くこともできますし、昼食に1,000円程度でご飯+味噌汁+おかず+ついでにビール1杯を楽しむのもOKです。もちろん、夜は2,000円から3,000円程度でしっかりと飲んで帰ることも可能。このように一日を通じて親しまれている「信濃路」は、鶯谷の住民全員にとっての食堂のような存在でもあります。

信濃路 鶯谷店(しなのじ うぐいすだにてん)/Rettyページ
【住所】
東京都台東区根岸1-7-4 元三島神社 1F
【最寄駅】
JR鶯谷駅・北口から徒歩1分
【営業時間】
07:00〜23:30
【定休日】
なし
【電話番号】
03-3875-7456
【ジャンル】
居酒屋 中華料理 和食 そば(蕎麦)

街歩きWebライター(東京都台東区)

カフェ・居酒屋探し、博物館・美術館見学、銭湯巡りや寺社探訪など、都心部の街歩きが大好き!特に都内で暮らし始めた頃に住んでいた浅草近辺、博物館・美術館が沢山ある上野界隈など、台東区内を月に2~3回は散策しています。東京23区でも面積最小ながら、歴史と見所が詰まった台東区の魅力を積極的に発掘・発信していきます!

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