5人に4人以上はLINEを利用…主要ソーシャルメディアなどの利用状況をさぐる(2019年公開版)
ウェブサービスの中では今一番利用され注目を集めているのがソーシャルメディア。その利用実情を、総務省が2019年9月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「平成30年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)から確認する。
今回利用実情の目安として利用率を確認するのは主要ソーシャルメディア、具体的にはLINE、Twitter、Facebook、mixi、Mobage、GREEの計6サービス。加えて動画・写真系のソーシャルメディアであるYouTube、Instagram、ニコニコ動画、TikTok、Snapchat。前回年の2017年分と比べるとTikTokが新たに加わり、Google+が除外されている。LINEは厳密にはソーシャルメディアではなくコミュニケーションサービスだが、今件ではソーシャルメディアとして取り扱われている。
具体的サービス毎の利用状況は次の通り。若年層の利用率が圧倒的に高く、これが後押しする形でLINEが一般的な(コミュニケーション系)ソーシャルメディアでは最上位につくこととなった。
次いで多いのはTwitter、そしてFacebookと海外発のソーシャルメディアが続く。かつて日本で一世を風靡したmixiだが、今調査の限りでは4.5%のみの利用率に収まっている。LINEは厳密にはソーシャルメディアと似て非なるものなので、実質的には「国内利用率ナンバーワンのコミュニケーション系ソーシャルメディアはTwitter」となる。
他方、動画系のソーシャルメディアまで精査に含めれば、LINEと肩を並べているのがYouTube。全体の3/4強が利用している。2018年から加わったTikTokは10.3%。
これを年齢階層別に見たのが次のグラフ。各層間の特性が表れており、興味深い結果が出ている。
まずはコミュニケーション系。LINEが全年齢階層で過半数、特に20代から30代では9割超の値を示し、圧倒的な普及の実情が確認できる。60代ですら5割強がLINEを利用中。これらの値はインターネット利用者、携帯電話利用者限定ではなく、該当する属性全体比であることに注意が必要である。50代の人10人を集めれば、そのうち8人以上はLINEを利用している計算となる。
10代・20代ではTwitterがLINEに続き、30代以降ではFacebookが続いている。かつて実名・実肖像主義のFacebookは日本では浸透しないのではないかとの話もあったが、この値を見る限りそれは単なる杞憂だったようだ。20-30代では半数近くの人がFacebookを利用していると答えている。Twitterは10代でおよそ2/3、20代では3/4強が利用。
LINEとTwitterはいずれも20代が利用のピークで、それ以降利用率は減少していく。Facebookが30代をピークとしているのは、仕事で使う人が多いからだろうか。60代ではLINEが5割強を示しているものの、それ以外ではFacebookが1割強でしかない。利用端末そのものの普及率の低さも一因だが、先行する記事にある通り高齢層ではデジタルにおけるコミュニケーションは電子メールが主流であり、ソーシャルメディアにはまだ手が及ばない。あるいは必要性を感じないのかもしれない。何しろコミュニケーションメディアは、自分だけでなく意思疎通をしたい相手も登録していないと、利用ができないのだから。それゆえにLINEの高い値は特異的。利用ハードルの低さが利用率の底上げに貢献しているのだろう。
動画・写真系ソーシャルメディアになると、YouTubeのLINE同様に幅広い年齢階層における利用状況が見て取れる。40代までは8割超、50代でも3/4近く、60代でも4割強が利用している。豊富なコンテンツの実装に加え利用ハードルが低く、ブロードバンドでインターネットにアクセス可能な環境であれば、会員登録の必要すら無くほぼ利用できるのが強みではある。
ニコニコ動画は10代から20代の利用が多いが、30代でも16.0%、60代でも6.0%の利用状況が確認できる。オシャレ感の強い画像共有サービスInstagramは10代が利用のピークで6割近く、20代でも5割強、30代でも4割強の利用率を示し、若年層に強いサービスの実情が把握できる。今回年から加わった、モバイル向けの短い動画共有サービスTikTokは10代の利用が圧倒的に多く4割近く、20代が2割強だが、30代以降は1割にも満たない。写真や動画などを個人やグループに送れる、そして送った相手が閲覧した後は再閲覧ができなくなる特殊な性質のサービスSnapchatは、20代で7.7%、30代以降はほとんどゼロとなっている。
今件調査結果からはLINEの浸透ぶりやTwitterの若年層への普及(最利用率は20代)など、興味深い動きを多々確認できるができるが、これらの動きはここ数年のものであり、単年のイレギュラー的なものではない。来年はさらにこれらの動きが進み、日本国内におけるソーシャルメディアの勢力図も随分と変化した状況となるだろう。
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※平成30年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査
2019年2月23日から3月1日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13~69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。
なお今調査は例年11~12月にかけて行われるが、直近分は翌年の2~3月となっている。グラフや本文上の表記や考察は、報告書に準ずる形で2018年と表記する。また調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが生じているが、報告書では「調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きをしている。
(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。