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「品薄2年」でPS5の興味は薄れた? ビッグデータが示す“興味”の揺れ動き

河村鳴紘サブカル専門ライター
ソニーの家庭用ゲーム機「プレイステーション5」=SIE提供

 ソニーの家庭用ゲーム機「プレイステーション5(PS5)」ですが、懸命な増産もあってか、中古市場の価格もようやく下落の傾向を見せています。そこで気になるのが、品薄のままで2年間経過したPS5への興味の度合いです。ビッグデータを活用して、同機がどう思われているのかを探ってみます。

◇年末の販売増に合わせてネット検索も増加

 ヤフーの行動ビッグデータを元に、生活者の実態や動きを可視化するインターネットサービス「DS.INSIGHT」を使います。「検索ボリューム」の数値は、ヤフーで検索された実数ではなく推計値で、日本国内のデータとなります。

 まず、PS5の「検索ボリューム」のピークですが、発売時の2020年11月(約30万8000)ではなく、価格発表のあった2020年9月(37万4000)です。その後は抽選販売が続き、「検索ボリューム」も数字もジリジリと落ちていきます。月推移のグラフで見ると、2022年3月以降に約3割落ちています。

 ですがその後も、月6万以上をキープして踏ん張り、昨年12月に月8万を記録しました。今年1月のデータですが、約2週間の時点で約7万といったところ。ちなみにゲーム雑誌「ファミ通」など各データからも、PS5本体の週販売数が以前よりも大きく増えています。その販売増加に合わせて、ネットで「PS5」が検索されているのも興味深いところです。

 ちなみに「PS5」とは別に、「プレステ5」のワードで検索している人も相応にいました。データの傾向、属性も類似傾向にありました。

「DS.INSIGHT」で、「PS5」の月ごとの「検索ボリューム」。2年間はキープしながらも、全体的に微減しているのが分かります。(出典:ヤフー・データソリューション|DS.INSIGHT)
「DS.INSIGHT」で、「PS5」の月ごとの「検索ボリューム」。2年間はキープしながらも、全体的に微減しているのが分かります。(出典:ヤフー・データソリューション|DS.INSIGHT)

 「PS5」を検索した割合ですが、2022年の年間データで見ると、男性が78%でした。比較対象として「ニンテンドースイッチ」の場合は男性が55%なので、PS5は、より男性が興味を持つゲーム機と言えます。

 しかし年代で見ると、10歳代・20歳代が「PS5」のワードを検索している比率が高いのが印象的です。PS5が高価格・高性能ゆえに気になるのでしょうか。もちろん、ニンテンドースイッチは老若男女に普及しており、その分30歳代、40歳代の割合が高く出ているのでしょう。

◇揺れ動く消費者心理

 続いて「PS5」のワードを打ちこんだ人が、それ以前や以後に、どんなワードを打ち込んだかが分かる「時系列キーワード」を見ます。

 「PS5」と打ち込む前のワードを見ると、突出して高いものは少なめですが、「トライアングルストラテジー」や「ホライゾンゼロ」など、ゲーム好きが反応するであろうゲームタイトルが目につきます。

 そしてPS5のワードを打ち込んだ後は、打ち込む前と比べて、多くの言葉が入力されているのが一目で分かります。打ち込んだ直後には「価格」や「店名」が目立ち、購入関連になります。そして検索から時間が経過すると、「FF16」や「ドラクエ10オフライン」という個別のゲームタイトルが増える傾向が見えます。同時に「ゲーミングPC」や「Steam」といったワードもあります。PS5の代替機として考えているのでしょうか。いずれにせよ、微妙に揺れる消費者心理を感じます。

「PS5」の「時系列ワード」でボリューム5000以上の上位ワードを抽出してみました。(出典:ヤフー・データソリューション|DS.INSIGHT)
「PS5」の「時系列ワード」でボリューム5000以上の上位ワードを抽出してみました。(出典:ヤフー・データソリューション|DS.INSIGHT)

◇時間の経過とともに変わる評価

 2年間のビッグデータを見る限り、PS5の「検索ボリューム」は、ある程度をキープしながらも右肩下がりですから、従って「興味が薄れた」とも言えるのです。

 一方で、PS5を検索した層が、どん欲にコンテンツ関連のワードを検索しているのもまた確かです。

 現時点では、「ソフト」関連のワードが強まりつつある一方で、「抽選」というワードもまだ強く残っていることです。PS5の中古市場の価格が下がっているとはいえ、「品薄が解消され、簡単に入手できる」とはいえず、過渡期にあるからでしょう。従って、現時点では「興味が薄れた」とも「違う」とも言えるのですね。

 そして、有力ソフトが出れば、ゲーム機はどんどん売れていくのは、みなさんがご存じのとおりですが、さてどうなりますか。これまでも、さまざまなゲーム機の評価が、発売から数年の間で、くるくる変わるのを何度も見てきました。PS5で検索されるワードがこれからどう変化していくのか、注目したいところです。

ヤフー・データソリューション | DS.INSIGHT

※この記事は、Yahoo!ニュース 個人編集部、ヤフー・データソリューションと連携して、ヤフーから「DS.INSIGHT」の提供を受けて作成しています。

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サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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