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渦中のレブロン・ジェームスが製作に加わる今秋放送予定のドキュメンタリー番組の興味深い中身

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
トランプ大統領(右)から中傷ツイートを投稿されたレブロン・ジェームス選手(写真:ロイター/アフロ)

 ドナルド・トランプ大統領から中傷ツイートを投稿され、今や渦中の人となったレブロン・ジェームス選手が、この秋に放送予定のドキュメンタリー番組の製作に加わることになった。その番組の中身が実にタイムリーで、まさに大統領に向けたメッセージになりそうだ。

 米国のエンタメ専門サイトの『VVARIETY』が報じたところでは、ジェームス選手が所有する製作プロダクションの『SpringHill Entertainment』とケーブルTV局『Showtime』内の『Showtime Sports Documentary Film』が共同でドキュメンタリーを制作する予定で、ジェームス選手もエグゼクティブ・プロデューサーに名を連ねるという。

 番組のタイトルは『Shut Up and Dribble(口を謹んでドリブルしなさい)』。これはホワイトハウス訪問を拒否したNBA王者のウォリアーズを擁護し、トランプ大統領を批判する発言を公にしていたジェームス選手に対し、今年2月にFOXニュースの女性コメンテーターが番組上で発したフレーズだ。このフレーズの意味は「バスケ選手はいちいち口を挟まずにプレーしていればいい」的なものであり、もちろんジェームス選手は「沈黙するつもりはない」と反論するなど、一大論争を巻き起こしていた。

 このジェームス選手を批判するようなフレーズをそのままタイトルに使用していることからも理解できるように、このドキュメンタリー番組では、この時の論争をプロローグとして過去から現在までのNBAを取り巻く様々な論争を紹介していきながら、社会におけるアスリートの存在意義とその変化を検証していくことになるという。

 現時点では明らかにされていないが、大統領の中傷ツイートもすでにNBA全体に拡大する大きな論争になっており、間違いなく番組内で取り上げられることになりそうで、今回のジェームス選手の考えを含め、番組そのものが大統領に向けたメッセージとして注目されるところだ。

 同番組は3回シリーズになる予定で、その初回は今年10月に『Showtime』で放送されることになっている。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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