阪神2軍の新キャンプ地は、岡田彰布監督と親交が深かった「横綱・千代の富士」がお目付け役?
2月1日からスタートするプロ野球の春季キャンプ。今年は長年練習を行ってきた場所を離れ、新たな地でキャンプインする球団がある。
阪神タイガースの2軍はこれまでの高知県安芸市から、沖縄県うるま市の具志川野球場を新拠点とする。阪神は宜野座村でキャンプを行う1軍と合わせ、チーム全体が沖縄本島に集結することになった。
具志川野球場は1990年代初めまで中日ドラゴンズのバッテリー組、2軍がキャンプで使用。ここ十数年は韓国球団のキャンプ地としてLGツインズ、SKワイバーンズ(現SSGランダーズ)、トゥサンベアーズの面々が同地でシーズンに備えた。2017年のWBCでは韓国代表が直前合宿を行ったこともある。
しかし新型コロナウイルス感染症の拡大により状況が変化した。20年春から2年以上出入国が制限され、韓国球団のキャンプは国内のみで実施。その間に具志川は楽天イーグルスの2軍が使用した。その後渡航制限は解除され、韓国球団の海外キャンプも可能となったが2年のブランクは大きく、交渉は日本の球団の方が有利な状況となった。
日本で韓国球団のキャンプ受け入れを行う男性は、「韓国の球団は地元自治体などと良好な関係を築いてきたので残念です。でも仕方がないことですね」と話した。
具志川野球場はすぐ隣に屋内運動場「具志川ドーム」があるのが特徴。2月の沖縄は前後の1、3月と比べると雨が多く、突然の雨に見舞われることもあるため利用価値が高い。ウォーミングアップや守備練習、防球ネットを用いてドーム内を4分割して打撃練習に使われることもある。
09年に完成の具志川ドームは翌10年の全国高校総体(インターハイ)の相撲競技に合わせて作られ、可動式の土俵の他、土俵の上にはつり下げ式のやぐらの設置も可能だ。落成式典には元横綱・千代の富士(13代目九重親方。16年に61歳で死去)らも出席した。
そのドーム内で目を引くのが、壁面に飾られた平成元年三月場所(大阪場所)の横綱・千代の富士の優勝額だ。横綱と今年から阪神を率いる岡田彰布監督は、現役時代から親しかったことで知られる。
阪神2軍の具志川へのキャンプ地移転は1軍との距離が近づいただけではなく、ウルフが岡田監督に代わる「お目付け役」として若手選手のことを見つめている。
◇ ◇ ◇ ◇
今年も沖縄ではNPB12球団のうち、9チームがキャンプを実施。うち5チームが2軍も沖縄入りする。例年嘉手納町で2軍キャンプを行っていたDeNAは球場改修により、鹿児島県奄美市での実施となった。
また韓国球団の日本でのキャンプも復活し、10球団のうち5チームが沖縄入り。具志川には阪神2軍のキャンプ終了後に、ロッテジャイアンツがグアムでの1次、石垣島での2次キャンプを経てやってくる。
⇒ 日韓22球団の春季キャンプ日程とWBC日韓代表の日程(ストライク・ゾーン)