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6月の債券市場では都銀が大量買い越しに

久保田博幸金融アナリスト
(ペイレスイメージズ/アフロ)

 7月20日に日本証券業協会は6月の公社債投資家別売買高を発表した。公社債投資家別売買状況のデータは、全体の数字と短期債の数字となっているため、短期債を除く債券のデータについて全体から短期債を引いた。ここには国債入札で購入した分や日銀の国債買入分は入っていない。

公社債投資家別差し引き売買高

注意、マイナスが買い越し

単位・億円

()内は国債の投資家別売買高の超長期・長期・中期別

都市銀行 -22512(-2198、-4472、-15574)

地方銀行 -2533(918、-937、-806)

信託銀行 -4465(-2127、-116、-1862)

農林系金融機関 -2729(-1938、-299、-150)

第二地銀協加盟行 109(192、-236、360)

信用金庫 -4584(-557、-722、20)

その他金融機関 -1035(-294、99、-40)

生保・損保 -2211(-1627、-152、67)

投資信託 -1621(339、-527、-760)

官公庁共済組合 -63(-120、3、0)

事業法人 -414(63、9、4)

その他法人 -628(47、36、5)

外国人 -7993(-3809、557、-3745)

個人 167(1、14、3)

その他 6742(4592、-2422、9218)

債券ディーラー -493(-138、271、-583)

 6月の国債の投資家別売買高をみると第二地銀、個人、その他を除いて総じて買い越しとなっていた。

 特に都銀は2兆2512億円と大幅買い越しとなっていた。これは2年7か月ぶりの水準に。先月は1兆4782億円の買い越しとなっていたが、さらに買いポジションを膨らませた格好に。特に中期ゾーンの買い越し額が大きい。6月は5年債利回りがマイナス0.1%を割り込むなど債券相場は下落基調(利回りは上昇基調)となっており、国内投資家は一般債含めて押し目買いを入れていたようである。

 先月までの買越額トップだった海外投資家は買い越しではあったものの、7993億円の買い越しに止まった。買越額が1兆円を割り込んだのは昨年10月の5717億円の買い越し以来となる。海外投資家の買い圧力の後退で中期ゾーンのマイナスの利回り幅が縮小し、付利の0.1%割れで銀行などの買いが入りやすくなっていたものとみられる。

投資家全体の売買状況 全体 超長期 長期 中期

1月1996647、303116、412877、588101

2月1958526、340593、481039、496524

3月2041609、385293、472883、558183

4月1914346、373287、391855、488680

5月1707093、320073、345208、435486

6月2124250、448132、436196、565359

海外投資家の売買状況

月 売り越し買い越し(マイナスは買い越し)、(超長期、長期、中期)、国債売買高、うち中期

2016年

4月-36565(328、-9142、-27271)、294983、62513

5月-16775(1347、-6186、-10933)、246889、34315

6月-36565(328、-9142、-27271)、344055、65055

7月-16693(1860、-4453、-13200)、275366、61036

8月-16838(-1108、-5390、-9702)、302397、65718

9月-27674(-3320、-4283、-19310)、380542、102124

10月-5717(1051、-5636、166)、264616、62534

11月-11672(2275、-2448、-10674)、302551、48912

12月-26198(-970、2054、-26261)、317612、57609

2017年

1月-23784(-1153、-504、-19500)、294839、61994

2月-11210(-2687、3009、-10323)、292813、51127

3月-17190(-4603、1222、-12886)、312730、58810

4月-21075(-3562、-4623、-11957)、321272、43951

5月-19887(-803、-6541、-11738)、269888、47170

6月-7993(-3809、557、-3745)、286134、45447

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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