金メダルに沸くオリンピック、あなたの資産にも金(Gold)の輝きを
◆金(Gold)の価値が高い理由
冬のオリンピックとして過去最高のメダル獲得数、中でも金メダル4個に沸いた平昌オリンピックですが、9日夜からパラリンピックがスタートしています。こちらも前回のソチパラリンピックでのメダル獲得数6個(うち金メダル3個!)を超えるメダルが期待され、またしばらく平昌の話題が続きそうです。
メダルが金、銀、銅と3種類あるなか、1位の選手が金メダルであるように、古来「金」には最高の価値があるとされてきました。
その理由としてまず挙げられるのが、輝きの美しさでしょう。銀や銅も美しいですが、やはり金のゴージャスな輝きが1位にふさわしく思われます。時の権力者が、建物や装飾品に好んで使ったのも肯けます。
また、稀少性が高く手に入りにくいことも、金の価値を高めています。
どれくらい稀少かですが、歴史が始まって以来、採掘された金の量は50メートルのオリンピック・プール約4杯分、そして、まだ採掘されていない金の量は約1杯分とのことです。現在の採掘技術では採算が合わない分も含まれており、地上在庫が大きく増えることは期待できません。今後も稀少性は損なわれないというわけです。
そして、他の金属のように腐食することがなく、輝きを失わないことも金ならでの価値となっています。エジプトのファラオの仮面が、6000年前と同じ輝きであることからもわかります。
ただし、純金(24K)だと柔らかすぎるので、宝飾品にする場合は銀や銅などを混ぜて加工するため(18Kや22K)、手入れが悪いと変色することはあります。
◆資産を守る働きをしてきた金
そのような特質から、古くから金は「通貨」としても使われてきました。古代ローマ金貨などがその例ですが、日本にも時代劇などでお馴染みの「小判」がありますね。
通貨としての金の役割は比較的最近まで続いており、1971年のニクソン・ショックまで、米ドルはいつでも1トロイオンス(約約31.1 グラム)=35ドルで交換できました。米ドルには金という価値の裏付けがあったわけです。
現在でも各国の中央銀行は金を大量に保有しています。基軸通貨である米ドルも、主要通貨であるユーロや円も、通貨として信頼されているとはいえペーパーマネー。また、株式や債券も、発行体が破綻すれば紙クズ同然です。
リーマンショック・ギリシャ危機のような金融不安、IS・北朝鮮に代表される政情不安など、何かあれば大きく株式相場や為替相場が動きかねない昨今、そのもの自体に不変の価値がある金は、安全資産としての役割を果たすと考えられています。「有事の金」というように、金はいざと言うときの「保険」になるわけです。
個人にとっても同様のことが言え、近隣国との戦争や内戦の歴史が続く国の人は、いつ価値がなくなるかわからない自国の通貨より、世界中のどこに持っていっても同じ価値を持つ金に信頼を置いていると言われます。アクセサリーにして身につけていれば、いざと言うときにはそのまま逃げられるとも。
日本ではそこまでの危機感は持ちにくいですが、歴史的に金はそのような役割をしてきたことを知っておくといいでしょう。
◆投資対象としての金を持つには
そんな金も、価格は金市場で日々刻々と変動しています。そういう意味では、金も投資商品の一種と言うことができます。
現在の国内価格は1グラム=5000円前後。海外の金価格を円換算しますから、金の価格変動に加えて為替相場の影響も受けます。たとえば、1980年には瞬間的に1グラム=6000円を超えたのですが、国内ではいまだにその高値を更新していません。しかし、海外ではすでに1980年の高値(1トロイオンス=850ドル)を超えています。当時よりかなり円高水準となっているため、国内価格は高値を抜けないわけです。
ですから、今まで金を買ったことがない人がこれから金を買うとしたら、「外貨投資」の一環として位置づけるといいでしょう。円資産だけでなく海外資産を組み合わせて持つことで、円資産のリスクを分散されると言われますが、金も海外資産のひとつとなり得るものです。
また、株式や債券のような「信用リスク」とは無縁であることも、前述のとおりです。
とはいえ、金が収益を生むとしたら「売却益」だけで、株式の配当や債券の利息のような収益はありません。大きな資金を注ぎ込むのは禁物です。
失敗の少ない金投資方法として、「地金型金貨」の購入が挙げられます。オーストリア造幣局発行のウィーン金貨、カナダ王室造幣局発行のメイプルリーフ金貨などがそうで、デザインも美しく、見て楽しむこともできます。欧米では記念日や、子ども・孫の誕生日に購入する人も多いようです。
「地金型金貨」は予算に合わせてサイズが選べますが、お勧めはデザイン料などを上乗せした「プレミアム」の比率が低い1トロイオンスか2分の1トロイオンス。汚したり傷つけたりするとプレミアム分の価値が下がるため、ケースに入れたまま保管しておいたほうがいいでしょう。
「地金」(いわゆる金の延べ棒)にも5グラム、10グラムなど小さいサイズのものがありますが、購入手数料がかかるので地金型金貨のほうが低コストで投資できます。
長期的に金を買い付けていく「純金積立」もお勧めです。月々3000円からが一般的ですが、1000円から積み立てられるところも。iDeCoなどの積立投資信託と同様に、値動きのあるものを定額で購入していく仕組みは、平均購入価格を低く抑える「ドルコスト平均法」の効果が期待でき、リスク軽減に役立ちます。