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シエラレオネ、洪水と土砂崩れで死者数百人。被害拡大のわけ

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
14日、シエラレオネ西部のRegentで起きた土砂崩れの様子(写真:ロイター/アフロ)

アフリカ西部の国・シエラレオネの首都フリータウンなどで14日(月)、大雨による大規模な土砂崩れや洪水が起き、少なくとも312人が死亡、2,000人以上が家を失うという大災害が発生しました。

AFP通信によると、道路は濁流と化し、町中に死体が打ち上げられているとのこと。また「圧倒的な数の死者」が病院に搬送されたために、遺体の安置場所が不足していると伝えられています。

赤十字によると、今もなお600名が行方不明とのことで、犠牲者の数がさらに増えることが予想されます。

シエラレオネの雨季

6月から11月は、シエラレオネの雨季に当たります。「熱帯収束帯」と呼ばれる雲の帯が形成される7月や8月は、一年の中で最も雨が多い時期で、梅雨のような日が連続します。

首都・フリータウンの8月の月間降水量はおよそ800ミリ、また年間降水量は東京の2倍の約3,000ミリにも及び、世界で最も雨の多い首都の一つです。

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災害の要因

大雨

このように、シエラレオネの8月は大雨の時期に当たりますが、今年の雨季はいつもとは様子が異なっているようです。

アメリカの気象機関(NWS Climate Prediction Center)によると、フリータウンでは7月1日からすでに1,000ミリ以上も雨が降っており、これはこの時期の平均の約3倍とのことです。

森林伐採

さらに近年、災害の起こりやすそうな斜面、川辺、海辺などでの宅地化が進んでいることや、薪や石炭を作るため森林伐採が行われていることなどで、首都周辺は特に土砂災害が発生しやすくなっているようです。実際、2010年にも首都で土砂崩れが起き、10人が死亡、数千人が家を失っています。

このような理由に加え、首都は海抜がほぼゼロメートルと洪水が起きやすい地域であること、さらに未整備なインフラの影響なども、災害を拡大させた要因となったのです。

シエラレオネとは

シエラレオネは一人当たりの国民総生産が世界で14番目に低く、最貧国の一つとなっています(2017年国際通貨基金発表のデータ)。

また女性の30%が出産中または出産後に死亡し、子供の40%は5歳にならないうちに命を落とすという統計も出ています。さらに10年以上も続いた内戦で若者が大勢亡くなったこともあって、国民の平均年齢は41.1歳と、世界でも最も寿命が短い国でもあります。

一方でダイヤモンドの世界的な採掘国でもあり、映画「ブラッド・ダイヤモンド」の舞台ともなりました。

参考文献:

“Diagnostic Analysis of Climate Change and Disaster Management in Relation to the PRSP III in Sierra Leone” (PDF)

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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