リスク回避と物価高があらためて金(ゴールド)価格の上昇を促している。土肥金山の金塊が時価27億円に
伊豆市の観光施設「土肥金山」に展示されている重量世界一の250キロの金塊が、25日までに時価27億円を超えたと報じられた(26日付、あなたの静岡新聞)。
「土肥金山」の展示場は以前に訪れたことがあり、あの金塊が時価27億円なのかと驚いた。少し興味が出て、あらためて金価格の推移を調べてみた。
日経平均株価は26日も過去最高値を更新していたが、前回の高値を付けた1989年あたりの金価格は2000円以下で推移することも多く、むしろ低迷していた。いわゆる資産バブルであっても金の価格には影響は与えていなかった。
むろん金価格はドルベースがメインであり、日本国内の需給というよりは世界的な需給の影響を受けやすいことも影響していたかと思う。
金の価格の推移をみると、1980年に一度大きく上昇していた。
米ソ間の緊張の高まりに加え、1979年8月6日に米連邦準備制度理事会(FRB)の議長に就任したボルカー議長が積極的なインフレ退治を行った年でもあった。
1980年には日本でロクイチ国債暴落が起きた。10年国債の利回りが12%台に上昇し金融機関がパニック状態に陥った。そのぐらい金利が急騰していた年であった。
しかし、ボルカーショックもあって米国のインフレは落ち着きを取り戻し、それとともに金価格も落ち着きを取り戻した。
ところが2006年あたりから再び金の価格は上昇基調を強めてきた。
米国でサブプライム住宅ローン問題が発生し、2007年のパリバ・ショックや2008年のリーマン・ショックが起きた。2010年あたりからはこんどは欧州の信用リスクが発生するなどしたことで、リスク回避の動きが影響した可能性がある。
2023年の中国人民銀行(中央銀行)と個人の購入量は前年に比べ3割増えたと報じられたように、中国などによる金の大量購入も影響した可能性もある。
新型コロナウイルス、ロシアによるウクライナ侵攻、中東情勢の地政学的リスクなどによるリスクが意識されてさらに金が買われた可能性もある。
2022年あたりからの世界的な物価上昇もインフレによる金買いも入ったとみられる。
リスク回避と物価高があらためて金価格の上昇を促していると思われる。