【サッカーW杯】レヴァンドフスキが前半だけで2得点。ポーランド代表がリトアニアに4-0で快勝
15日に開幕するサッカーロシアW杯で、日本代表と対戦するポーランド代表は、ホーム、ポーランドのワルシャワでリトアニア代表と親善試合を行い、レヴァンドフスキ(バイエルン)の2ゴールとコフナツキ(サンプドリア)、ブワシュチコフスキ(ドルトムント)のゴールで4-0で快勝。エースのレヴァンドフスキが前半だけで2得点を決めるなど、ポジティブな要素の多い試合となった。
チリ戦からスターティングメンバー7人を入れ替え
アダム・ナバウカ監督は、前回の試合のチリ戦から、レヴァンドフスキ、クリホビアク(WBA)、リブス(ロコモティフ・モスクワ)以外、スターティングメンバーの7人を入れ替え、様々な選手たちを試した。
そして、チリ戦では4-2-3-1からスタートしたシステムは、今回は3-4-2-1でスタート。チリ戦と同じく、サウサンプトンで吉田麻也とチームメイトでもあるベドナレクが3バックの中央に入り、右にはイェンジェイチク(レギア・ワルシャワ)、左にはチョネク(SPAL)が入り、右のWBにはベレシンスキ(サンプドリア)が入った。
チリ戦で出場機会の少なかった選手たちが躍動
序盤から試合を優位に進めるポーランドは、17分、タッチライン際から斜めに中に走り、リトアニアDFラインの背後をついたベレシンスキが決定機を迎えるも、レヴァンドフスキに折り返したパスは相手DFにカットされ、ゴールとはならない。
しかし、その直後の18分、同じく右サイドからベレシンスキが中に入っていって空いたサイドのスペースに、チリ戦では出場機会がなく、この日は3バックの右を務めていたイェンジェイチクが上がってくる。そこへ、ボランチのグラルスキ(ルドゴレツ)から、そのイェンジェイチクにパス。その瞬間に、コフナツキがオフサイドラインギリギリで走り出して右サイド深い位置でパスを受ける。そして、ファーサイドからニアサイドに猛然と走り込んできたミリク(ナポリ)を囮に、ミリクが空けたファーサイドに入ってきた左WBのリブスへのクロス。これをリュブスがダイレクトで中央のレヴァンドフスキに折り返し、最後はレヴァンドフスキが落ち着いてゴールに流し込んだ。
ポーランドの2点目はレヴァンドフスキの得点パターンの1つでもある直接FK。32分、ゴール正面の位置から放たれたシュートは、クロスバーを叩き、ゴールラインを超えた位置にバウンド。ボールはゴール外へ飛び出してきたが、ビデオ判定の後、ゴールが認められた。
後半開始からナバウカ監督は、2得点のレヴァンドフスキ、GKのファビアンスキ、DFのイェンジェイチクの3人の選手を替え、右サイドバックにピシュチェクを入れ、右WBを務めていたベレシンスキを左サイドバックに。そして、チョネクとベドナレクの2人のセンターバックとなり、4-2-3-1のシステムで後半はスタートした。
後半も依然として主導権を握るポーランドは、65分にリブスのCKからゴール前でこぼれたボールを、クリホビアクがゴールに背中を向けた状態でのヒールキックでゴールを決めるも、ハンドの判定となり、ノーゴール。
しかし、その直後の70分には、左サイドからベレシンスキが中にドリブル。中央にいたミリクに横パスを出し、縦に走って行くと、ミリクはダイレクトでテオドルチュク(アンデルレヒト)へ縦パス。これをテオドルチュクがコントロールしてペナルティエリア内にパスを流し込むと、走り込んでいたベレシンスキが相手DFラインを突破し、相手GKが飛び出してきたところを中央へ折り返し。がら空きのゴールへコフナツキが難なく押し込み、4人が絡んだ連携プレーからリトアニアの守備網を完全に突破してゴールを決めた。
さらに、81分には、この日70分から出場したブワシュチコフスキが、右サイドを突破してクロスをあげたところを相手DFがハンド。このプレーで得たPKをブワシュチコフスキ本人が決め、4-0とし、試合を決定づけた。
チリ戦では23分間の出場だったグラルスキ、8分間の出場だったベレシンスキ、そして出場機会のなかったイェンジェイチクとコフナツキで、右サイドを崩して生み出した1点目。そして、レヴァンドフスキを下げた後の後半も、ベレシンスキ、ミリク、テオドルチュク、コフナツキのコンビネーションで鮮やかにリトアニアの守備を突破してのゴール。本来は主力であるが、なかなか調子の上がってこないミリクに加え、現状では控えという位置づけだった選手たちが躍動し、チームとしての好調さをアピールする結果となった。
ゴール前に飛び込んで来るWB、バランスをとる両ボランチ
1点目は右サイドのクロスから、左WBのリブスがペナルティエリア内まで入ってきてクロスを受けたが、8分にも左サイドを崩して、ペナルティエリア内に進入したリブスが左足でクロスをあげようとしたシーンで、右WBのベレシンスキもペナルティエリア内まで入ってきている。
このように、3-4-2-1のシステムの場合、逆サイドからのクロスには、基本的にはWBはゴール前まで入ってくるため、クロスが成功しなかった場合、あるいは、クリアしたセカンドボールを拾うことが出来れば、WBの上がっている背後のスペースに素早く進入していくことで、日本代表はチャンスを作れるかもしれない。しかし、両ボランチがゴール前まで進入してくることはあまりなく、中央でバランスを取っていることが多いため、とくにクリホビアクはカウンターに備え、絶妙なポジションをとっており、カウンターの出どころでボールを奪い返されないように注意を払う必要があるだろう。
「満足はしているが、幸福ではない」
試合後の会見で、ナバウカ監督は、この日の選手たちのプレーに一定の評価を与え、かつチリ戦で出場した選手たちはキャンプでのハードなトレーニングの疲労があったことを考慮していることも強調し、その上で、「満足はしているが、幸福ではない」とコメントし、結果に甘んじていない様子を伺わせた。11日には守備のリーダーであるグリクのW杯本番での出場について、「青信号がともった」と、ポーランドサッカー協会は発表しているが、初戦のセネガル戦にベストコンディションに持っていくことは至難の業だろう。替わりに入ったベドナレクが一定のパフォーマンスを披露しているものの、4バックか3バックか、指揮官は最後まで頭を悩ますかもしれない。
ポジティブな要素の多かった試合ではあったが、ナバウカ監督率いるポーランド代表チームは、結果に甘んじることも、油断や慢心をすることなく、冷静に着々と本大会へ向けて準備を進めてくるだろう。