イングランド銀行の利下げ観測、英国のEU離脱などに備えた予防的措置か
イングランド銀行金融政策委員会のブリハ委員は12日付の英紙フィナンシャル・タイムズのインタビューで、国内の成長に関するデータに「早期かつ著しい改善」が見られない限り今月の政策会合で利下げに票を投じるとの考えを示した(朝日新聞)。
12月19日のイングランド銀行の金融政策を決める金融政策委員会(MPC)では、金融政策の現状維持を決定した。この際に、ソーンダース、ハスケル両委員が見通し悪化の恐れと労働市場に転換の兆しが見られることを理由に0.25%の利下げを求めていた。
ここにあらためて利下げを主張したブリハ委員も加わることになるが、どうやら利下げの流れが形作られてきたようにも思える。
それを示すものといえたのが、イングランド銀行のカーニー総裁の発言であった。カーニー総裁は9日、ロンドンでの講演で、英国経済の弱さが続けば金融緩和に踏み切る可能性を示唆していたのである。
さらに10日にはテンレイロ委員が、景気が加速しないなら利下げを支持する可能性があると発言していた。
英国は月次でGDPを発表しているが、英国の11月のGDPは前月比0.3%の減少となり、変わらずとの予想を下回っていた。
英国のEU離脱についてはやっと道筋が見えてきた。合意なき離脱というリスクは後退した。イングランド銀行にとり、仮に合意なき離脱となれば、その衝撃に備える必要がまずあった。このリスクは後退したが、今度はあらためてEUを離脱することによる英国への経済的な影響も考慮する必要も出てきたといえる。むろん足元経済の減速にも備える意味もあろう。
次回のイングランド銀行のMPCは1月30日に開催される。政策金利は現在、0.75%となっているが、ここで予防的な0.25%の利下げが決定される可能性は高いとみられる。