【高野町(高野山エリア)】田んぼは生命を育むゆりかご。日常の当たり前を見直してみる。
最近、田んぼには稲だけが生えていると勘違いされている方と出会ったので、本当の姿を知ってもらいたいと思って書かせていただきます。
私の実家のある地域も平野部なので米農家さんがたくさんおり、水田が広がっているのですが、近づいて水面・水中を覗くとイネ以外の生き物が全くいなかったり、いてもジャンボタニシ(ピンクの粒粒の卵を産み付ける外来種)と少しのアメンボくらいだったりします。
なので勘違いされたのかもしれません。
ここで農薬の是非を論じることはしませんが、農薬を使っている水田は生き物が減少するか、全くいなくなります。
地域として特別な取り組みをしていない限り、今の農村の一般的な景色はこれが普通です。「田んぼにはイネだけ」しか生えていないことがよくあります。
一方で農薬の使用量を減らすと生き物が戻ってきます。
以下の写真は私の住んでいる高野町の田んぼの景色です。
タニシは田んぼの中で藻類や植物プランクトン、土壌の有機物などを食べて生きている。食べたものはフンとして排せつされ、タニシのフンや粘液などをエサにして、藻類やプランクトンが繁殖する。プランクトンは多くの生物にとってのエサとなるため、メダカやヤゴなどの水棲(すいせい)生物が増える。また排せつ物は微生物などの分解者によって堆肥(たいひ)化され、植物の生育も促す。水草が育って水上のアブラムシも増え、それを食べようとさまざまな虫が集まってくる。
タニシを起点とした食べる・食べられる関係のサイクルがまわることによって生物の多様化が進み、豊かな生態系が作られていく
(引用元:https://agri.mynavi.jp/2021_12_30_179926/)
減農薬で行われており、今の時期は田んぼに水を張ったばかりですが、タニシ、アカハライモリ、アメンボ、ドジョウ、オタマジャクシ、カエルが住んでいます。
既にカエルの鳴き声がして、雨が降るとアカハライモリが田んぼ横の道を散歩して遠出している姿も見かけます。
一枚の田んぼの中に生態系が生まれています。
農薬を使うのが当たり前になり過ぎて、このような景色の存在すらなかなか知られていませんが、せめて知識としてだけでも本来の農村の生態系を知って頂けたらと思います。
ちなみに私は慣行農法(農薬を使った栽培方法)で作られたお米も食べつつ、時々ですが今の時期には、このような生き物のいる田んぼでドジョウを捕って柳川鍋にしたり、タニシを捕って味噌汁を作り、田んぼのあぜに育つ野草を摘み、それらの恵みを頂いています。泥吐きさえすれば、どちらも大変美味しいです。
都会に住んでいて農村風景を知らない方も、田舎に住んでいて田んぼの風景を見慣れている方も、この記事が今一度自然の在り方を考えてもらう一瞬になれば幸いです。