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剛腕無双・西山朋佳女流三冠(25)棋士を相手に4連勝で女性初の棋聖戦一次予選突破、二次予選進出達成

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 7月30日。東京・将棋会館において第92期ヒューリック杯棋聖戦一次予選準決勝▲西山朋佳女流三冠(25歳)-△北島忠雄七段(54歳)戦がおこなわれました。持ち時間は各1時間。14時に始まった対局は15時56分に終局し、結果は51手で西山女流三冠の勝ちとなりました。

 西山女流三冠は男性の棋士を相手に4連勝。女性として初めて棋聖戦一次予選を突破しました。

西山女流三冠、短手数で快勝

 西山女流三冠先手で戦型は中飛車。角交換から北島七段が両成りに角を打ち、序盤から乱戦の進行となりました。

 北島七段が角を成って馬を作ったのに対して、西山女流三冠は中央を突破して飛車を成り込み、龍を作ります。さらには銀桂交換の駒得で、トータルの損得勘定としては、西山女流三冠がややリードを奪ったようです。

 西山女流三冠は3筋の歩を伸ばして、北島玉の上部から押していきます。形勢は難しかったものの、北島七段が馬と龍の交換をして、一気に形勢差が開いたようです。

 最後は西山女流三冠が上部から押しつぶす形となり、短手数での決着となりました。

 西山女流三冠はその豪腕ぶりをいかんなく発揮し、一次予選で4連勝。女性として初めて二次予選進出を決めました。

 第91期棋聖戦は藤井聡太新棋聖が誕生し、将棋界はおおいに沸きました。

 第92期もまた、多くのドラマが生まれそうです。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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