日本人初のナックルボーラーが目指す未来──大家友和インタビューその3──
日本人初のナックルボーラー・大家友和投手の登場は、今後日本球界にどのような影響をもたらすことになるのだろうか?
ナックルボールに対する正しい認識を
─大家投手の中でナックルボーラーとしての終わり方をどのように考えているのか?
「何も考えていないですよ。ナックルボーラーが終わる時は野球選手が終わる時なので、ナックルボーラーとしてとは考えていないです。ただここまで来て、ここまでバッターと勝負をさせてもらえたのも、BCリーグでチャンスをもらえたからここまで続けてこられたので、そういう人たちには凄く感謝しています。そうした協力も頂いて折角手に入れさせてもらった経験なので、僕がやってきたことを皆さんにお伝えするのではなくて、折角手に入れたものなので、ナックルボールに対する正しい認識をしてもらえるように少しでも発信できたらいいかなとは思います。
パートタイムのナックルボーラーではないので、あくまでナックルボールに特化してやらせてもらってきた中で、自分に関する記事の中にはナックルボーラー、ナックルボールに対する認識が正しいとは言えないものがあるんですよね。そういう認識を変えたいというか、そうではないというのを伝えたいというのはあります。それがここまでチャンスを与えてもらい、こういう経験をさせてもらえた中で、野球界にお返しできる部分だと思います」
─やはりナックルボールは日本では特別な存在だと感じるか?
「今後どういう人がナックルボールに挑戦するのかわからないですけど、ただ普通はナックボールには手をつけないと思うんですよ。ナックルボールを投げるのには人それぞれの背景があるので、そういうところではある種特殊な部分があると思う。そういった意味でナックルボールに対する理解、認識が薄いが故に、次に登場する選手がいるならぜひ僕の経験をきちんとお伝えすることができるんじゃないかなと思っています」
─将来的にナックルボールが日本でももっと認知されるようになってほしい?
「僕のことはどうでもいいので、これから日本でもナックルボーラーというものが認められる日が来れば僕は嬉しいですし、(誰かに)やってほしいと思います。いつか日本のトップレベルでもナックルボーラーが現れる日が来て、その時は大いにナックルボールについて議論してもらいながら、自分も“こういうことなんですよ”みたいな発言ができたらいいなと思いますけどね」
野球人としてこんな素晴らしいことはない
─すでに大家投手の存在そのものが日本でのナックルボーラーの認識を変えていると思うが。
「そうですね。確かに“日本人の体格では(ナックルボールが)投げられない”とか理由が明確でないことが語られたりだとか、投げ方も指を曲げてボールを押し込むだとか言われていますけど、僕からすれば投げたことがない人の意見だというのが明らかなので…。ただそういう知識を持っていること自体が悪というわけではなくて、今はまだそういう情報しかないんだなということですね。そこはよりよい理解をしていってほしいですね」
─その意味での現在の取り組みは大きなことだと思うが。
「ただ僕はナックルボールを投げ続けてきた選手ではないですし、2度美味しい(野球人生)というか。ここまで素晴らしい経験ができるというのはつくづく運がいいなと思います。野球人としてこんな素晴らしいことはないでしょう。何十億の契約も幸せなことかもしれないですけど、できないことを経験することも幸せなことだと思いますよ」