テレビやネット、新聞はいつ使われているのか、時間ごとの利用状況をさぐる
テレビやネットの平日利用は朝と夕食、夜の私的時間がピーク
生活を豊かにし多様な情報を与えてくれるさまざまなメディア。人々はそのメディアをいつ利用しているのか。総務省が2017年7月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に、時間単位での利用状況を確認する。
次に示すのは調査対象母集団全体におけるテレビ(生放送=リアルタイム)(テレビ番組の視聴を意味する。パソコンのチューナー利用による視聴やモバイル端末によるワンセグ視聴も含まれる)、テレビ(録画)(録画した番組の再生)、インターネット(利用端末の種類は問わない)、新聞、ラジオの行為者率推移。この行為者とは、該当時間帯において連続して10分以上使った人のことを意味する。大よその人が就寝している時間帯は少なく、起きている時間、しかもプライベートな時間は多数の人が利用するため、大きな値が現れる。
平日のためテレビ(生放送=リアルタイム)は早朝と夕食時、そして就寝までのリラックスタイムにおける行為者率が高い。ピークは21時台で約4割強。お昼時にやや値が上昇するのは、職場のお昼休み時間に外食先で視聴する場合や、専業主婦、定年退職後のシニア層が食事をしながら観る場合があるため。インターネットもテレビとほぼ同じ動きを示すが、お昼時は出先、学校や職場でスマートフォンなどを用いてアクセスする事例が多々あることから、テレビと立ち位置が逆転する。
そのインターネット利用率は就業者による仕事中の利用も反映されるため、日中の行為者率が高い。よく見ると朝8時台に一度ピークを迎え、お昼時に第2のピーク、そして夕方以降は漸増している。これは朝出勤・登校前あるいは中のアクセス、昼休みの利用、帰宅時の利用といった利用スタイルが反映された形となる(要は仕事とプライベートの利用による回答が混じっている次第)。
新聞やラジオは行為者率そのものが低いため、テレビなどと比べて大きな変化が見られない。ラジオは日中ほぼ一定値を示しているのは「ながら聴取」が多いため。また新聞は届いた朝刊を読む人が多いこともあり、朝6時から8時にかけてがピークとなっている。夕食後もいくぶん値が上昇するのが興味深い。夕刊を読むケースもあるだろうが、むしろ夕食後に改めて朝刊を読み直していると考えた方が道理は通る。
テレビ(録画)は大よそ夕食後、就寝時にかけて行為者率が上昇する。夜のプライベートタイムに時間を確保し、録画していた番組を観ているようだ。
休日は日中もテレビやネットの利用は多めのまま
これが休日ともなると、いくつかの変化が生じるようになる。仕事や学校が無く、自由時間が多く得られるため、各媒体の利用スタイルにも変化が生じる。
テレビの行為者率で食事時に盛り上がる状況は平日と変わらないが、それ以外の時間帯でもそれなりの高率でテレビが視聴されている。そして何より朝食時のピークが1時間ほど後にずれており、平日よりも遅く起きて朝食を取るライフスタイルが垣間見られるのは興味深い。
インターネットは就業・学業で利用を妨げられなくなることから、昼食時の休み時間におけるピークも発生せず、朝食後から就寝までほぼ一定率の行為者率で推移している。しかも値は平日より高めだが、夕食後から就寝までの「夜のプライベートタイム」においてピークを迎えることは変わらない。ゲーム、あるいはソーシャルメディアなどでのチャットに勤しんでいるのだろう。
平日と休日を併記して差を確認
利用スタイルが平日と休日で大いに異なるテレビ(生)とインターネットについて、それぞれ平日・休日の値を抽出して同一グラフにまとめてみる。まずはテレビ(生)。
全般的には当然ながら、休日の方が行為者率は高め。特に日中は大きな差が出ている。夕食時のテレビタイムでは休日の方がやや行為者率は高くなるものの、それ以降はほとんど変わりがない。また平日と休日で朝食時のタイミングが1時間ほどずれる状況が良くわかる。昼食時のピークは変わらないので、平日と休日でお昼ご飯の時間は同一なのだろう。
続いてインターネット。
平日は仕事や授業の合間をぬって利用し、一通り片付く夕方以降に行為者率が上がる。休日はテレビ同様起床時間のずれが生じるため立ち上がりは遅くなるが、それ以降はほぼ終日高い値を示し続ける。ピークが夕食時から就寝までとなるパターンに変わりは無く、行為者率にも大きな違いが見られない。これは見方を変えると、インターネット、恐らくはスマートフォンを利用している人の多くは、夕食後から就寝に至るまでの利用においては、平日も休日も変わらないスタイルを貫いていることが想定される。頻繁に利用する人は平日も休日も変わりない次第。
テレビやインターネットの利用は年齢階層による特性があり、年齢によって利用状況は大きく異なってくる。あくまでも今件は調査対象母集団全体の、つまり世間一般における平均的な動向であることに注意されたい。
■関連記事:
テレビの視聴時間、若年層で減少中、でもその分高齢者が増えて…
※平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査
2016年11月26日から12月2日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳から69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。