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いまXboxゲームハード事業に何が起こっている? マイクロソフトの思惑とは#専門家のまとめ

多根清史アニメライター/ゲームライター
(写真:REX/アフロ)

Nintendo Switchが8年目に突入しつつも堅実に販売台数を伸ばし、PlayStation 5はようやく勢いが付いているゲーム専用機市場にて、マイクロソフトのXbox Series X|Sは存在感が薄れつつあります。純粋なハードウェア性能だけであればPS5を凌いでいるはずが、どうして今の事態にいたってのか。それでもなお、マイクロソフトに動揺が観られないのはなぜか。状況の全ぼうを把握するため、有用な記事をまとめてみました。

ココがポイント

▼Xboxゲームハードの売上が激しい落ち込み。マイクロソフト幹部は「Xbox Game Pass」に活路を見いだす

・Xboxハード売上、さらに42%減 それでもマイクロソフトは問題視せず(フォーブス ジャパン)

▼Xbox Series X|S、2度目の値上げ。PS5より安価は辛うじて維持

・Xbox Series X|Sが2度目の値上げ。Series Xは7,000円、Series Sは6,600円アップ(GAME Watch)

▼安価なFire TV StickだけでXboxクラウドゲーミングがプレイ可能に。月額料金のみ、一部タイトルは無料で楽しめる

・Fire TV、Xbox Cloud Gamingに対応 Xbox本体無しで数百のゲームをプレイ(Impress Watch)

▼2005年発売のXbox 360向けデジタルストアが7月29日に終了。ただしXbox One/Xbox Series X互換タイトルは引き続き販売

・19年の歴史に幕…Xbox 360のデジタルストアが閉鎖―デジタル専用作品の新規入手が不可に、海外ゲーマーたちも思わず思い出語りあう(Game*Spark)

エキスパートの補足・見解

足かけ19年ものデジタルストア提供は他社にもほぼ例がなく、マイクロソフトがソフトウェア資産を重視する姿勢を象徴したものです。同社は本業と言えるWindows事業でも過去の資産の継承・互換性を可能な限り守り続けており、「いまだに2000年代のフリーウェアが最新のWindows 11でも動く(ものがある)」ことの延長にあります。

これは裏を返せば、マイクロソフトの基幹ビジネスはソフトウェアということです。基本的にハードウェア事業は副業であり、自社のOS・ソフトウェアを普及させるための足がかりに過ぎないはずでした。自社製のPC「Surface」シリーズも、PCメーカー各社に見本を示すリファレンスモデルという位置づけです。

初代Xbox発売から23年、数世代にわたってXboxハードウェアを投入し続けたのは、同社にとって逸脱であり例外でした。すでにアクティビジョン・ブリザードを『Call of Duty』シリーズなど強力なソフト資産と共に傘下に収め、ゲーム定額サービスXbox Game Passも軌道に乗り、クラウドゲーミングを通じて「ゲーム専用機抜き」でお茶の間に届けられる環境も整い、ゲームハードにこだわる根拠はしだいに薄くなっています。

マイクロソフト自らが「Xboxコンソールが無くてもプレイ可能? Amazon Fire TV Stickさえあれば大丈夫」とのCMを公開して驚きましたが、もはや覚悟は決まったということでしょう。日本国内でも好調とは言い難いXbox Series X|Sを値上げする背景には、ある種の諦めがあるのかもしれません。

アニメライター/ゲームライター

京都大学法学部大学院修士課程卒。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。現在はGadget GateやGet Navi Web、TechnoEdgeで記事を執筆中。

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