Yahoo!ニュース

9月の日中の米国債保有額が減少、通貨防衛が原因か

久保田博幸金融アナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 米財務省が11月16日に発表した9月の国際資本収支統計における米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、海外投資家による米国債の保有高は7兆2969億ドルとなった。前月の7兆5090億ドルから減少した。

MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES https://ticdata.treasury.gov/Publish/mfh.txt

 9月の米10年債利回りは月初から上昇基調となっていた。1日に3.2台%となっていたが、27日には一時3.99%を付けて4%近くまでに上昇していた。

 FRBの大幅利上げが続くとの見方が強まった。21日のFOMCで政策金利を0.75%引き上げ、3.00~3.25%とした。FOMCで大幅利上げを続ける方針も示した。

 あらためて国別の米国債保有残高を確認すると、日本の米国債保有額は1兆1202億ドルとなり、前月比796億ドルの減少となったが、引き続きトップは維持した。

 2位の中国は9336億ドルとなり、前月比で18億ドルの増加。ちなみに中国人民銀行が発表した8月の外貨準備は382億ドル減となっていた。

 大きく減少したのは日本や中国だが、それぞれ通貨防衛が原因とみられる。増加した国はベルギーや英国などとなっていた。

 上位10か国の米国債保有額は下記の通り。

国、米国債保有額、前月比(単位、10億ドル)

日本(Japan)、1120.2、-79.6

中国(China, Mainland)、 933.6、-38.2

英国(United Kingdom) 、663.3、+18.6

ベルギー(Belgium )、287.9、+37.2

ケイマン諸島(Cayman Islands )、301.5、-5.8

ルクセンブルク(Luxembourg) 298.6 -7.4

スイス(Switzerland)、278.0、-16.9

アイルランド(Ireland) 、265.1 -10.2

ブラジル(Brazil)、226.4、-5.8

台湾(Taiwan)、216.9、-16.3

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

牛さん熊さんの本日の債券

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月20回程度(不定期)

「牛さん熊さんの本日の債券」では毎営業日の朝と引け後に、当日の債券市場を中心とした金融市場の動きを牛さんと熊さんの会話形式にてお伝えします。昼には金融に絡んだコラムも配信します。国債を中心とした債券のこと、日銀の動きなど、市場関係者のみならず、個人投資家の方、金融に関心ある一般の方からも、さらっと読めてしっかりわかるとの評判をいただいております。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

久保田博幸の最近の記事