かわいい子には汗をかかせよ 2018:もう一つの熱中症対策
< 子供を暑さから守るのは、帽子や水筒やエアコンだけではない。>
■猛暑酷暑の2018
夏は暑いのが当然ですが、今年の夏は記録的な猛暑です。7月23日には、都内でも観測史上初の40度越えの場所も出ました(東京初の40度超え…青梅で40・3度)。熊谷市では41.1度まで気温が上がり、日本歴代最高を更新しました(国内最高気温、5年ぶりに記録更新 埼玉・熊谷で)。この夏は、熱中症で倒れる人も続出です。子ども達の被害者も出ています。
今年の7月9日~22日までの平均気温は、平年と比べて、東京+4.4度、大阪+3.1度とも、報道されています(記録的猛暑 東・西日本は今後2週間も高温続く 関東甲信は雨も少なく)。
もちろん、無理は禁物です。誇張ではなく、命を守る行動が求められるときもあります。子供の死亡事故などあってはなりません。しかしその一方で、すべての野外活動を禁止すれば良いのでしょうか。冷房のない体育館も使用禁止でしょうか。甲子園をはじめ全国各地のスポーツ大会も、応援もすべてなくせば良いでしょうか。
学校管理職の集まりである校長会や教頭会でも、子供が熱中症にならないためにはどうすればよいか、真剣に話し合われていると聞きました。
中止や延期も一つの方法でしょう。そして、十分な水分補給、塩分補給、適切な休憩、無理をさせず、帽子をかぶったり、しっかり睡眠をとったりなど、様々な工夫が必要でしょう。でも、それでも大勢の熱中症患者が出ています。だから、もう一つの熱中症対策が必要です。
■熱中症はいつからふえたか
いくら暑い夏とはいえ、昔はこれほどの騒ぎにはなっていなかったような気がします。熱中症はいつから増えたのでしょうか。統計によると、1993年以前は、毎年の熱中症の死亡者数は多くの年で数十名程度です。それが1994年には492名、その後2006年までは200名前後、猛暑だった2010年には1,745名が亡くなり、最近の数年間は毎年500~1,000人前後の方が亡くなっています(熱中症はどれくらい起こっているのか:環境省熱中症予防サイト)。
これはもう、大災害並みの犠牲者数です。
理由は複合的でしょう。過去100年で東京の夏の平均気温は2度以上上がっています。平均だけでなく、35度以の猛暑日も熱帯夜も増えています。熱中症患者の半分は高齢者ですが、高齢者の増加も熱中症被害拡大につながっているでしょう。
■子ども達の問題
人間の汗を出すの機能は、3歳までに決まるとも言われています。蒸し暑い日本では、本来熱さに強い体になるはずでした。ところが、エアコンが効いた快適な場所で過ごしすぎると、汗腺の数が減ってしまうようです。クーラーなどない昭和を育った親達よりも、今の子供は汗腺の数が親の半分だという研究もあるほどです。
乳幼児があせもで苦しむのも困りますが、暑さに弱くなってイライラしたり、熱中症になりやすくなるのも困りものです。
■かわいい子には汗をかかせよ
日本気象協会推進のサイト「熱中症ゼロへ」では、熱中症予防として次の3つをあげています。
1シーズンを通して、暑さに負けない体づくりを続けよう。
2日々の生活の中で、暑さに対する工夫をしよう。
3特に注意が必要なシーンや場所で、暑さから身を守るアクションを。
暑い今の対策だけではなく、日ごろのの工夫が、もう一つの熱中症対策です。
熱中症は、例年梅雨入り前から発生し始め、7月下旬、8月上旬まで多く発生します。そこで、環境省では、次のように徐々に汗をかくことを勧めています。
■萎縮せず、安全を守り、夏を楽しもう
子供の安全を守りたいと思います。事件事故は防ぎたいと思います。ただ、事が起きたあとで、ああすべきだった、こうすべきではなかったと関係者を責めるだけではいけないと思います。
社会心理学の研究によれば、人間はある事が分かったその瞬間に、それは事前に予測できるはずだったと感じてしまうことがわかっています。それでも、関係者は後悔しているでしょうし、対策が必要なのは言うまでもありません。
しかし同時に萎縮してもいけないと思います。子供に汗をかかせず、一切の暑さから守ってあげれば良いわけではありません。私達は、蒸し暑い日本で生きていくのですから。
何とか、この暑さを安全に乗り切りたいと思います。しかし季節が過ぎさって、この膨大な報道も忘れ去れてしまって良いものではありません。家庭と学校と社会みんなで、子供達に少しずつ汗をかかせていきましょう。そうして、元気一杯、夏を楽しめる子供達を育てていきましょう。