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最多出火原因はたばこで3104件…出火原因の内訳などをさぐる

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
火災は財産のみならず人命まで根こそぎ奪ってしまうかもしれない(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

2020年の出火原因はたばこが最多

短時間に財産や人の命を根こそぎ奪いかねない重大な災害の一つ、出火。その実情を消防庁の公開資料「火災の状況」の内容から確認する。

最初に示すのは年単位の最新データにあたる2020年分の出火原因の内訳。最大値を示すのはたばこで3104件、ついでたき火の2824件となった。

↑ 出火原因の内訳(火災件数)(2020年)
↑ 出火原因の内訳(火災件数)(2020年)

たばこはその多くが不始末によるもの。たばこの喫煙率の減少もあり、件数は減る傾向にあるが、上位にあることに違いはない。

第4位の放火だが、詳しくは後述するが、年々その件数を減らしてはいるものの、今なお非常に多い件数が確認されている。単純計算だが毎日7件ほど、放火による火災が発生している計算になる。さらに「放火の疑い」まで含めると全火災件数の1割強・4052件にまで達する。

これを過去5年間について、動向把握をするため、各年の全体件数に占める比率と、単純に件数の積み上げとしてのグラフを作成したのが次の図。

↑ 出火原因の内訳(火災件数比率、2020年時点の上位10位のみ具体的に抽出)
↑ 出火原因の内訳(火災件数比率、2020年時点の上位10位のみ具体的に抽出)

↑ 出火原因の内訳(火災件数、2020年時点の上位10位のみ具体的に抽出)
↑ 出火原因の内訳(火災件数、2020年時点の上位10位のみ具体的に抽出)

件数で見ると放火は減少中。一方たき火などのように振れ幅が大きい出火原因も多く、全体数としてはやや大きな上下を繰り返しながら漸減の傾向にある。

また「その他」項目が3割台を維持していることからも分かる通り、出火原因そのものは多様化しており、最初のグラフで示した細分化の項目一覧にすら収まらないような事案が多々あることがうかがえる。

出火場所と犠牲者

出火原因はたばこの不始末が一番多いことは判明した。それではどのような場所で火災は多く発生しているのだろうか。建物の種類別に見た件数は次の通りで、一般住宅(いわゆる戸建)が最上位についている。その数、直近年では6859件。

↑ 建物用途別建物火災件数(上位)(2020年)
↑ 建物用途別建物火災件数(上位)(2020年)

次いで共同住宅が3349件と、最上位の一般住宅と合わせて住宅火災が多数を占めていることが分かる。「特定複合用途」とは2つ以上の用途に用いられる建造物のことで、そのうちの用途の一つが劇場や集会場、飲食店、病院、旅館、養護学校など特定の用途に該当するものを指す。例えば1階が飲食店で2階以上がオフィスのようなビルを指す(特定用途に該当しない複数の用途に用いられるのは「非特定複合用途」)。大規模火災などが報じられる場合が多いため、工場・作業場の件数も多数に上るように思えるが、実際には1599件と順位の上では4番目にとどまっている。

最後は火災のうち住宅で発生したものに関して、その火災で命を落とした人の年齢階層区分別割合(年齢不詳は除いて再計算している)。

↑ 住宅火災死者(放火自殺者などを除く)における年齢階層別割合(年齢不詳者除く)
↑ 住宅火災死者(放火自殺者などを除く)における年齢階層別割合(年齢不詳者除く)

元々高齢者の数・全人口比は増加する傾向にあるのだが、それでもなお人口構成比以上に高齢者の割合が大きく、さらに増加傾向にあるのが分かる。これは運動能力が低下しているなどで、逃げ遅れたり着衣に着火してしまうことを起因としていることに加え、高齢者の一人暮らし、寝たきりあるいはそれに近い状態の人が増加していること、そして高齢者の中でもより年上の人の数・割合が増加しているのも原因として考えられる。

火災はすべての宝物を一晩で奪う、非常に影響力の大きい災害。火がつきやすいものを外に置かないなどの配慮はもちろんだが、日常生活でも火の用心は欠かせない。また、お年寄りがいる世帯では寝たばこをしないよう心掛ける・うながすなど、さまざまなルール作り、万一の際の備えが必要。

火そのものは非常に便利なものだが、同時に大敵ともなりうる諸刃の剣。そのことを忘れないようにしよう。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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