正月太りの原因と対策 医師の視点
お正月になると、おせち料理におぞうに、おもち、お酒など、美味しいものがいっぱい。ついつい食べ過ぎて「正月太り」してしまう方も多いと思います。私も毎年2kgくらい正月太りしてしまうので、お医者さんの立場から対策を考えました。
目次
1、「正月太り」を防ぐためにすること
2、なぜ「正月太り」するのか
3、消費する量が減る
4、食べる量は増える
1、「正月太り」を防ぐためにすること
まず結論から言いましょう。「正月太り」を防ぐためには、
「正月太り」を防ぐために・・・
・必ず1日1度は外出する
・家ではあんまりゴロゴロしない
・出来たら毎日1時間は運動をする
・間食はやめておく
を私は実践します。さて、ちょいとこれらのお話にお付き合いを・・・
2、なぜ「正月太り」するのか
どうして「正月太り」してしまうのでしょうか。他の季節、例えば「4月太り」や「梅雨太り」はなく、正月が太りやすいのでしょうか。
説明する前に、人間はなぜ太るのか、の説明をしましょう。
とても簡単に言うと、人間が太るかやせるかは、(食べた量)- (使った量)の引き算で決まります。もし(食べた量)が多くて、(使った量)が少なかったら太ります。逆ならば痩せるのです。これは感覚的にわかりますよね。お財布と一緒です。
そしてこの量の単位は、キロカロリーという単位で測ります。面白いことに、ご飯を食べた量と、ランニングをして使った量が同じ単位で表せるのです。
例えば私が東京の皇居を一周5km走ると大体380kcalを使います(※1)が、これはご飯大盛り一杯と同じくらいの量になります。
そして、正月には(食べた量)- (使った量)の引き算で(食べた量)が増えて(使った量)が減ってしまうのです。そのわけを、順に説明しましょう。
3、(使った量)が減る
まずは(使った量)が正月に減る理由からです。
正月は長いお休みですよね。しかも実家に帰省をする人が多いのが正月休みの特徴。みなさん実家でゴロゴロしながらこの記事もスマホで読んでいませんか。
長いお休みだと、実は体を動かす量はかなり落ちるのです。通勤・通学はしませんし、会社や学校で椅子に5時間座ることもありません。会社帰りに飲みに行くこともないし、学校帰りに遊びに行くこともありません。その代わりにしているのは、家でゴロゴロしながらテレビやスマホを見ていること。外出すると言ったって、ちょっと近所に初詣に行くかセールに行くくらいでしょう。一日中外に出る人はいません。
そうすると、体の筋肉がどんどん弱まっていってしまうのです。通勤や通学って、足や腹筋・背筋など結構な運動になっているんですね。
実は、筋肉は、寝たきりになると1日に5%ずつ落ちていくと言われています(医学的には「廃用(はいよう)」といいます)。寝たきりではないにしても、正月にガクッと動く量が減ると、2,3%くらいずつは筋肉が落ちていくと考えられます。私は毎日手術をする外科医ですが、年末年始にしばらく手術がなく正月明けに手術をすると、足がとても疲れます。だいたい1日4,5時間は立ちっぱなしで手術をしていたので、年末年始の数日間しないだけで足の筋肉が落ちていたのですね。ですから、今年は意識的にランニングをするようにしています。
(使った量)には、何もしなくても勝手に使ってくれる量と、運動して消費される量に分かれます。何もしなくても勝手に使ってくれる量(=基礎代謝と言います)は、筋肉の量にある程度左右されるので、正月にゴロゴロして筋肉が落ちるとその量も減りますね。そして正月に家から出ないと運動して消費される量も減りますから、結果として(使った量)がだいぶ減ることになります。
ですから、始めに書いた
・必ず1日1度は外出する
・家ではあんまりゴロゴロしない
・出来たら毎日1時間は運動をする
これらをすることで、筋肉が弱まるのを防ぎ、ちょっとは運動して消費する量を確保するのです。
4、(食べた量)は増える
そして、正月は何かと(食べた量)が増えてしまいます。正月にはなんとなくおもちを3個、4個と食べますよね。気になって調べたのですが、私が食べたおもち(サトウの切り餅)のカロリーは1個118キロカロリーでした(※2)。そして、飲んだ日本酒は1合。これは200キロカロリーに相当します(※3)。ちなみにビール中瓶1本(500ml)も200キロカロリーです。やれやれ、ちょっとお酒を飲んでおもちを食べたら簡単に大幅なオーバーになってしまいますね。
しかも、やることがあまりないからか、間食が増えてしまうのです。おせちの残りやこたつの上のみかんやお菓子など、ついつい食べてしまいます。
しかし、せっかくの正月気分を節制しながら過ごすのもどうか。そこで、私はせめて
・間食はやめておく
ことにしました。朝ごはんを食べたら昼ごはんまで、昼ごはんを食べたら夕ごはんまでは何もつままない。お菓子も食べない。これで少しは(食べた量)をおさえられます。
いかがでしょうか。これ位でしたら、それほど大変ではなく実践できることでしょう。
ぜひ、お試しください。
※本記事はわかりやすさを優先したため、医学的な厳密さを欠いた表現があります。
(※1)
筆者がNike+ RunClubアプリを使用し5km走った時の実際の結果によります
(※2)
(※3)