日本に公衆電話が何台あるかご存知ですか?(2014年)
「公衆電話」は言葉通り「公衆」の「電話」。誰もが有料で利用できるインフラとして提供されている。緊急時には救急車や警察を呼ぶための拠点としての存在意義もある。
しかし公衆電話の役割は、携帯電話の普及と共にその立場を奪われつつある。携帯電話、特にスマートフォンの普及で、電話としての存在意義、立ち位置は低下し、さらにコミュニケーションの様式が会話からデジタルによる文章のやり取りがメインとなるに連れ、公衆電話の需要・利用率も漸減。利用率の低下は売上の低下につながり、採算が合わなくなる対象も増加し、設置台数も減少の一途をたどっている。
2014年3月末時点における日本国内の公衆電話総数は19万5514台。去年の21万0448台から1年間で、約1.5万台・7.1%も減少している。日本の人口が1億2713万6000人(人口推計、2014年4月1日時点)だから、約600人に1台の割合である。
公衆電話は減少を続けている。これは疑いようも無い事実。しかしその一方、高齢者の利用度が高い、緊急時において必要となる、ユニバーサルサービス制度によって(赤字でも)維持が義務付けられているなどの理由もあり、減少傾向は避けられないものの、最低限必要数は維持されることが確約されている。
特に「緊急時において必要となる」点は、2011年の東日本大地震・震災の際に、他の通信インフラが途絶した状態の中、公的機関などに設置・開放された公衆電話を使い身内や知り合いと連絡を取り、肌身を持って実感した人も少なくないだろう。これはNTTが設置する公衆電話は、発信規制や接続規制が行われた際にも優先して通信が行なえる「優先電話」と同様の扱いを受けているためである(「災害時優先通信(総務省)」)。
公衆電話は今後もその数を減らしていく。同時に「インフラとして必要な公衆電話数の適切数」の検討、さらには「緊急時の保険的通信手段としての役割」が再確認された上で、公衆電話の管理維持が求められる。例えば「非常時に有益となるインフラ」の定義で考慮すれば、コンビニには公衆電話の設置を義務付けるとの施策も面白いかもしれない。
同時にこれまで以上に、代替手段としてますます重要視される携帯電話の、最近さらに問題が多発している「インフラとしての脆弱性」に関し、各担当企業のさらなる努力が求められるのは言うまでもない。
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