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【京都市】しめ縄をかけられた大石『岩神祠(いわがみのほこら)』

高津商会RICALIFE&文化芸術☆プロデューサー/ジャーナリスト(京都市)

京都の西陣に、大きな奇石を祭神とする『岩神祠(岩神神社)』があります。

この奇岩には、様々な怪異現象の伝承エピソードがあるそうです。もともと堀川二条付近にあったそうですが、二条城築城の際に六角辺りに移されました。

その後、中和門院(後陽成天皇の女御の一人)の御所の庭の美しい池畔に移されましたが、夜な夜な、その池の辺りから啜り泣きが聞こえてきたそう。

さらに耳を澄ませると、「帰りたい、戻りたい」と聞こえる…

女官が池の畔に近づいてみると、見知らぬ子どもが泣いていたが何を問うても返事がない。後日、池の畔の大岩が泣いていることがわかったので、大岩を元の場所へ帰してやりたいと中和門院は願ったが、どこへ返すのがいいのかわからない。

真言宗蓮乗院の僧侶が大岩をもらい受け、現在の地に遷して祀ったところ、怪異はピタリと止み、大岩を祀った寺を「有乳山岩神寺」と称したそうです。寺は授乳の神様として信仰されるようになったそうです。

大岩の形が男性のシンボルに似ていることから、大岩は「陽石」としても信仰されたそうですよ。

また、小僧に化けて「神泉苑(禁苑)」で怪をなし、「禿童石(かむろいし)」とも呼ばれました。

明治になって廃寺となった「有乳山岩神寺」は、石だけが放置されて、大正6年に芝居小屋の跡地となっていた今の土地に、祠を建てて神事を行うようになりました。

大岩様は「岩上さん」と西陣の人たちから親しまれ、町と人々を見守り続けてくれています♪

【岩神神社】

場所・・・京都市上京区浄福寺通上立売大黒町

LIFE&文化芸術☆プロデューサー/ジャーナリスト(京都市)

京都で生まれ育つ。世界各地を周遊、欧米中心に20年ほど滞在し京都に帰還。日本のコアな伝統文化や芸能、神社仏閣や裏歴史、催事らを国内外の旅サイト・雑誌・新聞で執筆。経験に基づく“陰謀説”の電子書籍出版あり。ジャーナリスト、写真映像家、イベントプロデューサー、特殊ツアーガイドから日本庭園庭師までマルチに活躍。京都太秦にある老舗『髙津商会』にて映画・美術装飾・アート&エンタメ、海外事業に携わりつつ伝統文化・芸能などに関わる史実や古美術らについて勉強中。『京愛』や『日本愛』を深める毎日。

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