【福島市】ふくしまの果樹を100年先の未来へ|看板業と農業の二刀流「アクア農園」さくらんぼ畑訪問レポ
今が旬の「赤い宝石」ともよばれるさくらんぼ。看板業の傍ら農業にも奮闘する佐藤玲子さんが営むアクア農園のさくらんぼ畑を訪問してきました。佐藤さんの農業に対する思いとさくらんぼのおいしさの秘密をお届けします。
看板業の佐藤さんが農園をはじめたわけ
福島市飯坂町にあるアクア農園のさくらんぼ畑には、鮮やかなルビー色のさくらんぼがたわわに実っています。
「佐藤錦」や「香夏錦(こうかにしき)」・「正光錦(せいこうにしき)」などの品種を大切に育てています。
実は、佐藤玲子さんの本業は「看板業」。一体なぜ農業をはじめたのでしょうか。畑の継承のきっかけとなったのは、後継者のいない実家の果樹園の桃の木を伐採した時に、美しい年輪から涙のようにあふれ出る樹液を目の当たりにしたことでした。
その時佐藤さんは「自分を育ててくれたこの美しい田畑たちは、この地での農業が終わりの時であることを静かに受け入れ、涙を流していると感じた」と言います。
そして、「自分がいま農業を始めなければ、この美しい里山を次の世代へつなぐことは叶わない」と熱い情熱を胸に2020年に、アクア農園を開園しました。
さくらんぼ畑は、長年果樹農業をしてきた清おじいちゃんが高齢になり、「たがいどごはもうあぶねくてあがらんにがら」(自分は高齢となり高所での作業は危険なので栽培をお願いしたい)という切実な思いを受け、引き継ぎました。
看板業と農業は、並大抵の努力では続けられません。しかし佐藤さんは「なんとかして次の世代へふくしまの果物をつなぎたい」と常に未来を見据えてまい進し、今やふくしまの農業に欠かせない存在です。
また、子どもたちに、味覚や五感を使って自然や作物の大切さを感じて欲しいと「学べる遊べる畑」をテーマに、収穫体験も行っています。
ルビー色に輝く鮮やかなさくらんぼの秘密
アクア農園の「佐藤錦」はとても甘みが高く、糖度が30度近くなります。畑で採りたての佐藤錦を口に運ぶと、ハリがあって濃厚で、それはそれは甘い!!
おいしさの秘密のひとつがこちら。さくらんぼの葉がいくつかまとめて輪ゴムで束ねてありますよね。これは、太陽の光がサクランボの実にまんべんなく当るように「葉上げ」という作業を行っています。
こうして、真っ赤に色づいたルビー色のさくらんぼになるのです。果実の周りの葉をすべて上げていくのはとても大変で、サクランボ栽培で最も苦労する作業とも言われています。アクア農園では、就労継続支援事業所の方々が、ひとつひとつていねいに作業してくれました。
大切に育ててくれた農園の皆さんの努力の賜物。さくらんぼを我が子のように「かわいくて、かわいくて」とお話ししているのが佐藤さんの言葉に果物への愛情を感じました。
アクア農園のさくらんぼは、道の駅ふくしまなどで販売中です。見かけたらぜひ手に取って味わってみてくださいね。
※写真や内容は、2023年6月15日現在の情報です。最新情報は、公式サイト等でご確認ください。
アクア農園詳細:公式サイト