2014年のFRBのテーパリングの際の米債の動きを再確認、米長期金利のピークはテーパリングの決定前
2013年5月22日にバーナンキFRB議長(当時)は、上下両院合同経済委員会で証言を行い、証言後の質疑応答で、景気指標の改善が続けば債券購入のペースを減速させる可能性があると指摘した。これを受けて、22日の米国債券市場で米債は下落し10年債利回りは2.02%と2%台に乗せた。
バーナンキ議長は6月19日のFOMC後の記者会見において、失業率が低下基調を維持するなどの経済情勢が見通しどおりに改善すれば、一定のペースで規模を縮小し、2014年半ばにかけて緩和策を終了するという意向を示した。19日に米10年債利回りは2.3%台に、20日には2.4%台に、21日には2.5%台に上昇した。
この年の8月末にワイオミング州ジャクソンホールで開催されるカンザスシティ連銀主催のシンポジウムにバーナンキ議長は異例とも言える欠席をした。9月17日から18日にかけて開催されたFOMCでは予想されたテーパリングを見送った。9月6日の時間外取引で米10年債利回りは3%台に上昇していたが、18日には2.69%に低下した。
12月18日のFOMCで量的緩和政策の縮小、テーパリングの開始を賛成多数で決定した。米10年債利回りは2.9%台に上昇したものの、3%を抜けることはなかった。
テーパリングは2014年1月29日のFOMCでさらなる縮小を決定、この日の米10年債利回りは2.70%。3月19日のFOMCでも縮小、米10年債利回りは2.77%。4月30日のFOMCでも縮小、米10年債利回りは2.67%。6月18日のFOMCでも縮小、米10年債利回りは2.6%割れ。7月30日のFOMCでも縮小、米10年債利回りは2.55%。9月17日のFOMCでも縮小、米10年債利回りは2.62%。
10月29日のFOMCでも縮小を決定し、これにてテーパリングは終了した。ゼロ金利政策については相当な期間、維持する方針も改めて示された。この日の米10年債利回りは2.32%。
2015年に入り、年内の利上げ観測は継続したが、9月のFOMCでは見送られ、この日の米10年債利回りは2.19%と前日の2.29%から低下していた。
10月28日のFOMCでは次回12月の会合で政策金利引き上げを検討すると表明。この日の10年債利回りは2.10%。
12月16日のFOMCで政策金利を年0~0.25%から0.25~0.50%に引き上げた。7年ぶりのゼロ金利解除となり、利上げは2006年6月以来。この日の10年債利回りは米10年債利回りは2.30%となっていた。
米10年債利回りはFRBの金融政策だけで決まるわけではない。ファンダメンタルズなどを含め、外部環境にも当然影響される。しかし、それでも米10年債利回りが3%を超えていたのはテーパリングが決定されるかもしれないとされた2013年9月であった、その後は実際にテーパリングが進み、利上げも行われたが、米10年債利回りの上昇は限られたものとなり、3%を超えることはなかった。