43歳。仕事も恋愛も「平均」では満足できない。穏やかで面白い人と結婚したい~スナック大宮問答集71~
「スナック大宮」と称する読者交流宴会を東京、愛知、大阪などの各地を移動しながら毎月開催している。味わいのある飲食店を選び、毎回20人前後を迎えて和やかに飲み食いするだけの会だ。2011年の初秋から始めて開催150回を超えた。のべ3000人ほどと飲み交わしてきたことになる。
筆者の読者というささやかな共通点がありつつ、日常生活でのしがらみがない一期一会の集まり。参加者は30代から50代の「責任世代」が多い。お互いに人見知りをしながらも美味しい料理とお酒の力を借りて少しずつ打ち解けて、しみじみと語り合えている。そこには現代の市井に生きる人の本音がにじみ出ることがある。
その会話のすべてを再現することはできない。参加者と日を改めてオンラインで対話をした内容をお届けする。一緒におしゃべりする気持ちで読んでもらえたら幸いだ。
***タカコさん(仮名。独身、43歳)との対話***
カッコイイなと思った男性もいましたが、独身かどうかわかりませんでした
――ご自宅の他に工房を構えて、自営のお仕事をされているそうですね。
はい。30歳のときに独立しました。普段は一人暮らしの家と仕事場の往復で、飲み歩くようなことはしていません。初対面での飲みの席などは苦手なほうです。今回のスナック大宮でも「あまり馴染めなかったらひたすら食に走ろう」と思っていましたが(笑)、そんな心づもりは忘れるぐらいに楽しい時間があっという間に過ぎていきました。大宮さんの読者つながりだからなのか、初めましてという感じではない方が多くて話しやすかったです。なかなかの不思議体験でした(笑)。
――タカコさんは独身とのことですが、結婚相手探しの目的もありましたか?
はい。でも、スナック大宮は婚活の場ではないんですよね。みなさんガツガツした雰囲気ではなかったのでむしろ居心地はよかったです。私は女性同士で話すことのほうが多かったですけど……。カッコイイなと思った男性もいましたが、独身かどうかはわからなかったし、ほとんど話せませんでした。
――そこは難しいところですけど、気になる人とは連絡先交換をして友情や愛情を自己責任で育んでいただいても僕は別に構いません。実際、スナック大宮で出会って結婚したと報告してくれる人たちもいます。ただし、婚活パーティーではないので「素敵な異性以外とは話さない」という態度はちょっと困ります。「大宮冬洋のファンミーティング」という建前は守っていただいたほうが和やかな雰囲気になり、結果的に良き出会いが生まれやすいのです。そういう意味では大人の態度が必要な食事会だと思います。
なるほど(笑)。よくわかりました。次回の福岡開催も楽しみにしています。
「人を見る目が厳しいね」と友だちからよく言われます。男性に求め過ぎるのです
――ちなみに他では婚活をしていますか?
はい。独立してからはひたすら仕事優先で過ごしていましたが、40歳になってから遅ればせながら焦り始めました。2年前からは自治体が無料で提供してくれている結婚相談所に登録して、今まで10人以上とはお見合いをしました。県外の人とはオンラインで、近くに住む人とはリアルのお見合いです。しばらく交際した人もいましたが、結婚となると違うかなと思ってしまったり……。
私は「人を見る目が厳しいね」と友だちからよく言われます。自分のことは棚に上げて、特に男性には求め過ぎてしまうんです。穏やかな人がいいけれど、デートではリードしてほしかったり。自主性がないとつまらない。矛盾していますよね。
――そうですね(笑)。
実は、去年すごく好きになった人がいました。同じ音楽サークルに所属している10歳以上も年下の男性です。人にも楽器にも丁寧に接して、話も面白くて、私より演奏が上手。教えてもらっているうちに好きになっていました。
末っ子の私は今まで年上ばかり好きになっていたのですが、その人は精神年齢がすごく大人なのだと思います。彼が県外に行ってしまうタイミングで告白して、「他に好きな人がいるので。ごめんなさい」とフラれて気持ちの整理ができたつもりでいました。
――「つもりでいました」ということは……。
はい。先日、やはり音楽サークルの集まりで再会しちゃったんです。彼は私の気持ちを知っているので、今まで以上に気を遣って話してくれてますます「いい人だな」と思いました。そのタイミングで、結婚相談所で知り合った人との2回目のデートがあったのです。嫌でしょうがなくてお断りしました。
ピンと来ない人と一緒にいるぐらいなら一人のほうがいいと思ってしまいます
――比べちゃいけないと思いつつ比べちゃうものですよね。タカコさんは一見すると「優しいお母さんになりそう」な外見と雰囲気ですが、中身は違いますね。お仕事でも至上を追求しているので、プライベートでも妥協ができないのではないですか。
そ、その通りです! 私は仕事でも恋愛でも「平均点」では満足できません。ピンと来ないような人と一緒にいるぐらいなら一人のほうがいいと思ってしまいます。
――だとしたら、いわゆる婚活は向いていないと思います。「穏やかだけど話が面白い。丁寧だけどリードもできる」ような男性は、婚活する間もなく周囲の女性につかまることが多いからです。タカコさんもそんな男性と大恋愛して結ばれたいのであれば、サークルだけでなくいろんな場に出て、略奪婚をするぐらいの覚悟で「いい男性」を探すべきだと思います。
相談所には向いていないことは自分も感じていて休会したところです。独身の女友だちが地元の飲食店を知っているようなので、今後は連れ出してもらう予定です。不倫は避けたいですけど、出会いがあればいいなと思っています。
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自分を知るのは難しい。「自分が輝ける場所」を見つけるほうが簡単です
以上がタカコさんとの対話だ。仕事でも恋愛でも「平均点」では満足できない自分に初めて気づいたとタカコさんが驚いていたように、自分のことを客観的に知るのは難しい。他人から指摘されても腑に落ちなかったりもして、なかなか行動には移せない。
タカコさんの場合は、様々な困難やトラブルが起きることを覚悟して好きな男性をつかまえるしかないと思うのだが、当面は女友だちと飲み交わすことに終始しそうだ。良さそうな店を覚えたら、一人でカウンター席に座ることをおすすめしたい。店主も他の客もそのほうが話しかけやすい。
自分を知るのは難しくても、「自分が輝ける場所」を見つけたり作ったりするのは意外と簡単だ。飲食店であれば、店主から好かれているか否かが重要だと思う。明らかに好かれていない場合は頑張る必要などはなく、他の店を探せばいい。店主から歓迎されているような常連客は安心して堂々と振る舞えて、他の客からは輝いて見えたりする。結婚相手を探していることを店主に伝えておけば、それとなくアシストしてくれるかもしれない。
結婚相談所などの婚活の場が「いけす」だとしたら、夜の町などは「大海原」に該当する。当てずっぽうで釣り糸を垂らしても魚は釣れない。自分という生餌が喜ばれるような場を探し、そこに注力すべきだと思う。