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ゴルフ界のビッグニュース。L・トンプソンがPGAツアー出場。男子に挑む史上7人目の女子選手 #ゴルフ

舩越園子ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授
(写真:REX/アフロ)

 米ゴルフ界からワクワクさせられるビッグニュースが飛び込んできた。米女子ツアー(LPGA)選手のレクシー・トンプソンがPGAツアーの大会に推薦出場し、男子選手たちと伍して戦うことが決まり、複数の米メディアが一斉に報じた。

 トンプソンが挑むのは、10月12日から15日にラスベガスのTPCサマリンで開催される「シュライナーズ・チルドレンズ・オープン」(7255Y、パー71)。

 この大会は、今週から始まるPGAツアーの秋のシリーズ「フェデックスカップ・フォール」の第2戦に当たり、出場人数は132人、賞金総額は840万ドルだ。

 「女子選手がPGAツアーに挑戦」というフレーズを耳にすると、多くのゴルフファンが思い浮かべるのはミッシェル・ウィーやアニカ・ソレンスタムかもしれないが、女子選手がPGAツアーに挑んだ歴史は、ベーブ・ザハリアスから始まった。

 ザハリアスは、1938年以来、男子の大会に7度出場。そして、1945年のフェニックスオープンとツーソンオープンで予選通過を果たし、男子大会で予選通過を果たした唯一の女子ゴルファーとなった。以後78年という歳月が経過した今でも、その記録は塗り替えられてはいない。

 その7年後の1952年にシャーリー・スポークがリノオープン(現バラクーダ選手権)に出場したが、以後は半世紀以上もの間、女子選手がPGAツアーに挑んだことはなかった。

 ようやく2003年に、ソレンスタムがコロニアル・トーナメントに挑み、大観衆とメディアの大群が押し寄せて「まるでサーカス」呼ばれるほどの大騒ぎになった。しかし、ソレンスタムはあと一歩というところで予選通過はならず、「女王」は悔し涙を流した。

 同じ2003年、PGAオブ・アメリカ所属のクラブプロだったスージー・ウエイリーがグレーター・ハートフォード・オープンに挑んだ。結果は予選落ちとなったが、彼女は2018年にPGAオブ・アメリカ初の女性会長に就任し、さらなる話題になった。

 ウィーがPGAツアーに挑み始めたのは、その翌年の2004年からだった。「私は男子ゴルフの世界に挑みたい」と公言した14歳の天才少女は、ソニー・オープンで予選通過に迫り、結果は1打差で予選落ちとなったが、ウィーの可能性を感じたPGAツアーの大会は次々に彼女に推薦出場をオファーした。

 以後、ウィーはさらに7回(合計8回)、PGAツアーの大会に出場する機会を得たが、残念ながら予選通過は1度も達成されなかった。

 近年では、ブリタニー・リンシコムが2018年のバーバソル選手権にトライしたが、やはり予選落ちに終わった。

 そして、PGAツアーにチャレンジする史上7人目の女子選手となるのが、トンプソンだ。

 トンプソンは28歳の米国人選手。12歳で全米女子オープンの出場権を手に入れて大きな話題になり、プロ転向後、LPGAでは通算11勝の実績を上げてきた。

 今季は7月から出場5試合連続で予選落ちするなど決して好調ではなかったが、9月に開催された女子ゴルフの米欧対抗戦「ソルハイムカップ」では大活躍。翌週のウォルマートNWアーカンソー選手権では8位タイに食い込み、復調ぶりをアピールしたばかりだ。

 近年はPGAツアーのシーズンオフのチャリティTVマッチであるQBEシュートアウトにも出場し、男子選手と一緒に熱いプレーを披露してきた。トンプソンの2人の兄弟はPGAツアーで戦った経験があるプロゴルファーだ。そうした彼女のバックグラウンドなども評価され、今回の推薦出場が決まった。

 「私が男子の大会に挑むことが、夢を追いかける若い女子選手たちへの大きなメッセージになってくれたら、うれしい」

 果たして、78年ぶりの予選通過となるかどうか。今から楽しみである。

ゴルフジャーナリスト/武蔵丘短期大学・客員教授

東京都出身。早稲田大学政経学部卒業。百貨店、広告代理店勤務を経て1989年に独立。1993年渡米後、25年間、在米ゴルフジャーナリストとして米ツアー選手と直に接しながら米国ゴルフの魅力を発信。選手のヒューマンな一面を独特の表現で綴る“舩越節”には根強いファンが多い。2019年からは日本が拠点。ゴルフジャーナリストとして多数の連載を持ち、執筆を続ける一方で、テレビ、ラジオ、講演、武蔵丘短期大学客員教授など活動範囲を広げている。ラジオ番組「舩越園子のゴルフコラム」四国放送、栃木放送、新潟放送、長崎放送などでネット中。GTPA(日本ゴルフトーナメント振興協会)理事。著書訳書多数。

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