無免許で人身事故の木下富美子氏 「免停が終わったと勘違い」発言の意図は?
都議選の2日前に無免許運転の上で人身事故まで起こしたとされる木下富美子氏。「事故当日まで免許停止中だったが、免停が終わったと勘違いしていた」などと発言しているという。
免停手続の流れは?
免停期間中に車を運転すると無免許運転になるが、故意がなければ罪に問えない。木下氏の発言の意図は、無免許に対する認識を否認し、うっかりした過失だったと主張するところにある。
しかし、免停手続の流れを踏まえると、この弁解はにわかには信じがたい。
すなわち、免停処分は、交通違反や事故に伴う累積点数と行政処分歴を踏まえて決定され、最短で30日、最長で180日だ。
免停が決まると、公安委員会から通知書が送られてくる。指定の日時に運転免許センターなどに出頭し、免許証を預けることで、その日から免停がスタートし、満了日を過ぎるまで運転できなくなる決まりだ。
その際、運転免許停止処分書を交付されるが、これにはいつからいつまで何日間の免停になるのか、明確に記載されている。免停期間中は無免許運転になり、一発で免許取り消しになるので、絶対に運転しないようにといった注意も受ける。
この免停期間は講習を受けることで短縮でき、例えば免停30日でも出頭当日に講習を受けて成績が「優」なら1日に短縮されるが、それでも翌日までは運転できない。
こうして預けた運転免許証は、短縮講習を受けていれば返還予定日以降に、受けていなければ免停期間満了日の翌日以降に、指定の運転免許センターなどで返してもらえる。
ただし、「お役所仕事」だけに、平日の午前9時ころから午後4時半ころまでしか受け付けていない。満了日の翌日が土日祝日であればその直前の平日に受け取れるが、免停明けまで運転できないことに変わりはない。
木下氏の場合、免停の満了日は7月2日の金曜だが、人身事故が同じ日の午前7時半ころということだから、少なくとも手もとには運転免許証がなかったはずだ。そうすると、まだ免停の満了日を過ぎていないという重要な事実を失念していたとは考えにくい。
余罪の捜査も
木下氏は、街頭演説に向かう途中、交差点で曲がり切れず、後方を確認せずにバックし、停止中の車に衝突した上で、運転手と同乗者に軽傷を負わせたという。
警察が捜査中だが、無免許運転の故意を否認していることもあり、7月2日以前に遡って余罪の有無を捜査するだろう。例えば、免停期間中の木下氏の行動履歴を調べ、コンビニなど立ち寄り先の防犯カメラを確認し、常習性を見極めるといったやり方だ。
ここで気になる報道がある。次のようなものだ。
「日本維新の会の松本みつひろ区議はツイッターで『選挙期間前、期間中の両方で、木下都議が自ら車を運転して、二連ポスターの貼り替えやテープ流しをしているところを何度もお見かけしました。免停の期間は最短で30日ではなかったか。人身事故は免停最終日ということだが、その前も免停期間中であることを認識して運転していたのではないですか』と指摘した」
「都議選で、木下氏と同じ板橋区選挙区から立候補していた日本維新の会の前田順一郎氏もツイッターで『告示日直前の6月21日に志村坂上でご自身が街宣車を運転しているのを、私はハッキリと見た。私は自分の街宣車のマイクでご挨拶をしたが無視されたので、良く記憶している』と投稿した」
(東京スポーツ)
今後も、木下氏が車を運転して街宣している動画などの情報提供が相次ぐかもしれない。警察はこれらの証言の真偽も吟味することになる。(了)