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中国で戦後70年安倍談話番組を特集

遠藤誉中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士

8月12日、中国の中央テレビ局CCTVは昼のニュース番組で戦後70年に出される安倍首相の総理談話に関して特集を組んだ。安保法案による支持率低下と民意に押されて「侵略」と「お詫び」を入れる模様と報道。

◆特集番組「戦後70年安倍談話」

8月12日の中国の国営放送である中央テレビ局の国際関係チャンネルCCTV4は、ニュース番組の大半を日本の総理談話に割き、「メディアの焦点」でも特別番組を組んで報道した。

それによれば:

「安倍は戦後レジームを変えるために、安保法案を通そうとし、安保法案可決を容易にするために、新たに戦後70年総理談話を出して、村山談話で明示されている“侵略”と“お詫び”を削除しようと、もくろんでいた。しかし安保法案に対する日本国民の抗議デモや支持率の低下を目の前にして、ここでさらに“侵略”と“お詫び”を入れない総理談話を発表すると、いっそう支持率が低下し、このままでは安倍内閣は持たないのではないかと心配して、ついに折れて、“侵略”と“お詫び”を入れることにした模様だ」

とのこと。

それを証拠づける情報として、日本の各種新聞の報道や、シンガポール、香港あるいは韓国メディアの報道を紹介している。

支持率は第二次安倍内閣発足以来、最低の32%にまで下がったと、嬉しげだ。

◆「謝罪をすることは、そんなに難しいことなのか?」__環球時報

CCTVの特集「メディアの焦点」では、「安倍にとって謝罪をすることは、なぜそんなにまで難しいことなのだろうか?」というタイトルの記事が環球時報に出ていると、特集番組は報じている。

環球時報は、以下のような論説を張っている。 

●ここのところ日本のメディアは安倍談話には謝罪は入らないだろうと報じてきた。いよいよ日本投降70周年の日が近づくにつれて、安倍談話に謝罪の言葉は入っているか否かが、全世界の注目の的となるに至っている。

●なぜなら日本の総理としての終戦70年の節目に当たる談話は、日本が今後、国際社会で歩む道の方向性を示すからだ。

● そのプレッシャーに押され、安倍はおそらく妥協的姿勢を示すだろうというのが、おおかたの見方だ。ただ、安倍の歴史修正主義は、すでに内外ともに認めるところで、結果的に安倍がどのような談話を出すかは、アジア太平洋における利害関係を計算し尽くした判断を反映することになるだろう。

●したがって安倍がアジア太平洋諸国の潮流に沿い、国際社会に受け入れられる談話を出すのは、やはり歓迎に値する。これは歴史を逆行して世に批判を浴びるよりはいいに決まっている。

●そうしなければ、安倍がどれだけ全世界の激しい批判を浴び、危険なシグナルを出すことになるか、全世界の世論はわかっている。

●しかし、それにしても、 なぜ安倍にとって「謝罪」の二文字を入れることが、そんなにまで困難なのだろうか? それは中国の総合的な国力が日本を遥かに追い越してしまっているからである。国家が衰退し坂道を転がっていくとき、何かしらのちっぽけなソロバンをはじくものである。現実を見ずに、何か奇跡が起きるだろうという幻想を抱く。

●実はアメリカは、日本が「正常な国」になるための、最大の障害となっている。それなのに、安倍はそのアメリカに忠誠心を示して(安保法案を通そうとして)、逆に日本を「小さな国」にさせてしまっていることに気がついているのだろうか? 安倍の政治ロジックは実に奇々怪々だ。なんといっても東京は、アメリカに対して忠誠心を見せることによってアメリカの日本への警戒心を緩め、その結果、日本はアメリカのコントロールから抜け出そうとしているのだから(軍事力を持つ独立国家を目指していることを指す)。

●こんな芸当、できるはずがないだろう?

●安倍の支持率が坂を転がっている現実を目にして、安倍はひょっとしたら、自分が西太平洋において「力不従心(意余って、力足りず)」という道を、ひとり歩いていることに気づいたのではないだろうか?

中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『中国「反日の闇」 浮かび上がる日本の闇』、『嗤(わら)う習近平の白い牙』、『習近平が狙う「米一極から多極化へ」 台湾有事を創り出すのはCIAだ!』、『習近平三期目の狙いと新チャイナ・セブン』、『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』、『 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』など多数。

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