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ダニー・ジャンセンがMLB史上初の1試合に両チームからの出場選手に!

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
8月26日のブルージェイズ戦でMLB史上初の珍事を達成するダニー・ジャンセン選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【MLB史上初の珍事誕生が確定的に】

 レッドソックスのアレックス・コーラ監督の計らいにより、MLB史上初の珍事が誕生することになった。

MLB公式サイトが報じたところによると、コーラ監督が現地時間8月26日に行われるブルージェイズ戦とのダブルヘッダー第1試合で、ダニー・ジャンセン選手を捕手として起用することを明らかにした。

 この試合は6月26日に2回途中で雨天中断になっていたものを再開するもので、当時ジャンセン選手はブルージェイズの先発捕手を務めており、スコアブック上ジャンセン選手は1試合で2つのチームで出場を果たすというMLB史上初の選手になることが確定したのだ。

【トレード期限日内にレッドソックスへトレード移籍】

 この中断試合はブルージェイズが攻撃中の2回表1アウトでストップしており、その時に打席に立っていたのがジャンセン選手だった。

 本来ならジャンセン選手の打席から再開されることになるわけだが、彼はトレード期限日内の7月26日に戦力補強のためレッドソックスにトレードされた。そのためブルージェイズは、すでに25人枠を外れたジャンセン選手に代わり、代打を起用し試合を再開することになる。

 一方で、同試合でレッドソックスの先発捕手を務めていたリース・マグワイア選手も、ジャンセン選手の加入に伴いDFA(40人枠から外す措置)となり、現在は傘下の3Aに在籍している。

 このためレッドソックスもマグワイア選手の代わりに別の捕手を起用せざるを得ず、コーラ監督はその選手にジャンセン選手を指名したというわけだ。

【ブルージェイズは9選手中5人が離脱】

 ちなみにブルージェイズはトレード期限日内に大量の選手を放出しており、当時先発オーダーに名を連ねていた選手で現在チームを去ったのは、ジャンセン選手の他にジャスティン・ターナー選手(マリナーズに移籍)、アイザイア・カイナー-ファレファ選手(パイレーツに移籍)、ケビン・キアマイヤー選手(ドジャースに移籍)がいる。

 さらに同試合でリードオフを務めていたボー・ビシェット選手も、7月20日付けで10日間の負傷者リストに入っており、やはりこの試合に出場することができない。

 つまり当時の先発オーダーに名を連ねていた9選手中5人を入れ替えて、試合を再開させなければならない状況になっている。

【珍事確定の背景に米ベテラン記者の後押しも】

 コーラ監督の粋な計らいにより、ジャンセン選手は史上初の選手になることが確定したわけだが、今回の決断にはある後押しがあったようだ。

 「歴史的瞬間を目撃したいすべての人たちのために、月曜日の第1試合に(ジャンセン選手を)起用する。実はジェイソン・スタークとバスター・オルニーからメッセージを受け取っていて、彼が捕手を務めるのかってね。もちろん彼が捕手を務める。歴史をつくろうじゃないか」

 コーラ監督が明らかにした2人の人物はいずれもMLB屈指のベテラン記者で、彼が2013年から4年間ESPN解説者を務めていた頃から親交を深め続けているようだ。

 そうしたベテラン記者たちの後押しもあり、我々は歴史的な瞬間に立ち会えることになったわけだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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