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【公認心理師が教える】ハラスメント対策にも!明日からできる心理的安全性を高めるマネジメント

jaja公認心理師/社会福祉士

「心理的安全性」という言葉はマネジメントをされている方であればご存知の方も多いはず。また、最近は色々なハラスメントが問題になっており「何も言えない・・・」と悩まれている方も多いのではないでしょうか。

今回紹介する4つの方法で心理的安全性を高めることで結果的にハラスメントの軽減にも繋がります。

心理的安全性のおさらい

心理的安全性とは、個人がチーム内で批判を恐れることなく自分の意見や感情を自由に表現できる状態を指します。心理的安全性が高いチームは、メンバーが安心してリスクを取ることができ、生産性の向上、イノベーションの促進、チームの学習意欲・成長促進など様々な効果があるといわれています。

明日からできる心理的安全性の高めるための方法

心理的安全性を高めるためには「対等なコミュニケーション」がとても重要です。

上司であるあなたはもちろんチームメンバー同士が対等であることでオープンな対話を引き出すことができます。

心理的安全性を高めるために対等なコミュニケーションを引き出す方法は主に4つです。

1. できる人扱いもできない人扱いもしない

「◯◯さん優秀だね〜」

「◯◯さん今度は忘れずにやってよ〜」

などと言ったり、良かれと思って部下やチームメイトのことを「◯◯キャラ」として扱っていませんか?

人は良い評価であっても悪い評価であっても無意識のうちに周りから期待されているキャラクターから抜け出せなくなってしまいます。「優秀」といったできる子扱いであっても「優秀な自分でいなければいけない」と無意識に自分を縛り、弱い部分を出しづらくなってしまいます。

とはいえマネジメント上、部下の評価は必要です。

「優秀」「有能」といった曖昧な表現や一方的な評価は避け、まずは本人ができたと感じていることを認めることが大切です。

2. 自分と部下の責任を混同しない

「◯◯さんはちょっとうっかりしているところがあるから締め切りのリマインドをしておいてあげよう」

など良かれと思ってリマインドなど先回りしてサポートしていませんか?

それ実は「信じていないメッセージ」を与えてしまっているかもしれません。先ほどの「できない人扱い」と同様、部下は無意識のうちに自分の評価に縛られてしまっているかもしれません。

部下自身が責任を追うべきこととあなたの責任を分けて考え、リマインドや先回りのサポートではなく「部下自身が課題をどう捉えているか」「どうしたいと思っているか」を聞いていくとよいでしょう。

3. カテゴライズによる関わり

「男性だから・女性だから」

「新人だから・ベテランだから」

「子育中のママさんだから」

などカテゴライズした関わりをしていませんか?

これも1で述べた「できる人できない人扱い」と同様、本人が周りから期待されるキャラクターから抜け出せなくなってしまいます。

これは実際に筆者が経験した事例でもありますが

「ベテランだと思われているから分からないと言えず重大なミスを犯していた」

「新人だからなかなか意見が言えない」

「いつまでも新人じゃないんだから。自分から動いてほしいのに」

といったことが起こってしまうかもしれません。

カテゴライズされることを本人が嫌だと思っていればまだよいのですが、多くの場合、本人も自分が周りからの評価に縛られているとは気づいていません。無意識のうちに自分にブレーキをかけてしまい伸び悩みの原因になっていることも。

カテゴライズはせず「本人ができること・できないこと」を事実ベースで把握し、事実に基づいてやりとりするようにしましょう。

4. 上司自身が葛藤を抱えたまま関わらない

上からも下からも板挟みでそんなの無理だよという声が聞こえてきそうですが、

あなた自身が部下に対して「葛藤は抱えてはいけないものではなく、葛藤は抱えて当然である」というメッセージを態度で示すことが大切です。

人は葛藤を抱えたまま関わると意図せず攻撃的な言葉を選んでしまったり、否定的な態度をとってしまうといわれています。また人間にとって心に抱えているものと言動が一致していない状態はとても負荷が大きく、強いストレスがかかります。

抱えているものを手放すことはなかなか難しいですが「自分は今葛藤を抱えている」と自覚するだけで心と行動の一致につながります。

上司がどんな立場にいるかは部下からもある程度想像することができてしまうでしょう。それなのに「さも葛藤を抱えていないかのような態度」を取られてしまうことは部下に対して無意識に「葛藤は抱えてはいけない、表に出してはいけない」というメッセージを伝えることになってしまいます。

上司であるあなたが率先して自分の葛藤を言葉にすることで、「こんな風に出していいんだ」と部下も自分の葛藤や悩みに気づきやすくなりオープンなコミュニケーションにつながるでしょう。

葛藤を出す際、職務上言えないこともあるかと思いますので

「詳しくは言えないんだけど今ちょっと大変でさ〜」

「取引先の人に会ってきたんだけどなんかすごい疲れちゃったんだよね〜」

など自分の気持ちや状態を言葉にするだけでも良いでしょう。

まとめ

心理的安全性を高めるための方法を4つご紹介しました。

今回ご紹介した方法は明日から実践できるものばかりです。とはいえ自分のコミュニケーションスタイルを変えなければならないため慣れるまでに時間を要するかもしれません。まずは自分自身がどのように関わっているか、どんなコミュニケーションを取っているのかを言語化してみることから始めてみてはいかがでしょうか。

公認心理師/社会福祉士

公認心理師/社会福祉士/発達障害を専門に学ぶ。うつ病などの心の病のある方や発達障害のある方への就労支援経験7年。マネジメント経験6年。一児の母でもあります。「自分らしくのびのび生きる」ためのヒントを発信していきます。

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