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国債市場特別参加者会合で交わされた意見

久保田博幸金融アナリスト
(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

 11月26日に開催された国債市場特別参加者会合(第111回)議事の要点が財務省のサイトで公開された。

 参加者からの意見として、

 「超長期ゾーンのうち、40年債については、生命保険会社の規制対応の進捗等による需要の減退を踏まえ、減額が適当との意見が多く聞かれた。減額の時期については、一部に令和6年度内からの先行減額を求める意見もあったものの、来年度からの減額が適当との意見が多く聞かれた。30年債については、40年債と比べれば需要の継続が見込めるものの、減額が適当との意見が聞かれた。」

 40年債については、今後減額されるとの期待が強い。そのタイミングは来年早々からとの見方が多かったように思われる。しかし、「来年度からの減額が適当との意見が多く聞かれた」とある。

 これは今後の予算編成のタイミングも意識してのものではなかろうか。

 政府は、経済対策の裏付けとなる今年度補正予算案を28日召集の臨時国会に提出し、年内成立をめざす。総合経済対策を閣議決定した。対策の規模は国の一般会計の歳出で13.9兆円程度の見通しとなっている。

 これについては、税収の上振れ分や未発行の財投債の付けかえ、前倒し発行分などである程度はカバーできるとみられ、カレンダーベースでの増発はないと予想されている。

 ただし、問題は来年度予算となる。

 首相は29日の所信表明で「103万円の壁」の引き上げを明言する方針とされる。所得税がかかる年収の最低ライン「103万円の壁」の引き上げ幅はどのぐらいになるのかは、いまだはっきりしていない。

 来年度予算の編成の行方にやや不透明感もあることで、今年度内については40年債の減額なとではせず、来年度からの減額が適当との意見が出された可能性がある。

 「長期・中期ゾーンについては、総じて、預金取扱金融機関による追加的な投資需要が見込まれるとして、増額余地があるとの意見が聞かれた」

 日銀による国債買入は今後、段階的に減額される。日銀に変わっての国債の保有先として期待されるのが、メガバングなどの金融機関となる。銀行などの国債保有は中長期債が主体となることで、これは日銀の国債買入減額も意識してのものともいえる。

 銀行にとっては物価等に配慮しての金利も求められるとみられることで、日銀による利上げはむしろ歓迎される。急激な金利上昇は避ける必要があるかもしれないが、経済実態に即しての金利の形成は、むしろ銀行の国債投資には必要なものといえる。

金融アナリスト

フリーの金融アナリスト。1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音さんのベストセラー小説『日本国債』の登場人物のモデルともなった。日本国債や日銀の金融政策の動向分析などが専門。主な著書として「日本国債先物入門」パンローリング 、「債券の基本とカラクリがよーくわかる本」秀和システム、「債券と国債のしくみがわかる本」技術評論社など多数。

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