蓮舫参院議員の離婚原因は「人生観の違い」~「離婚」を選択する「基準」を探る
立憲民主党参議院幹事長の蓮舫参院議員(52)と離婚した、元夫でジャーナリストの村田信之さん(54)がAERA dot.の取材に応じ、27年間の結婚生活を振り返っています。
その中で、村田さんは離婚の原因を「人生観の違い」と説明しています。
このように、お二人は十分話し合って離婚を選択しました。ただ、離婚は人生の中でも大きな決断であることには違いありません。そこで、今回は、離婚を検討するのに基準となる民法の条文をご紹介したいと思います。
結婚をすると「4大義務」が生まれる
結婚をすると夫婦互いにいくつか義務が発生します。その中でも、「同居」「協力」「扶助」そして「貞操」の4つの義務は、結婚生活の中枢といっていいものです(民法752条)。
民法752条(同居、協力及び扶助の義務)
夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
したがって、離婚を選択する基準の一つとして、夫婦の4つの義務を果たすことができない状態になってしまったことが挙げられます。以下、4つの義務の概要をお伝えします。
1.「同居」義務
夫婦として同居する義務です。同居義務は、結婚の成立、つまり役所に婚姻届を届出た時から発生し、結婚の解消まで存続します。同居義務違反は離婚原因(民法770条1項2号)となり、離婚慰謝料の理由にもなります。
民法770条(裁判上の離婚)
1.夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
2.裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
2.「協力」義務
結婚共同生活を営むための義務です。その内容は各夫婦の事情によって当然異なります。日常生活を継続的に維持するため、病気になってしまったときの看護について、子どもの養育についてなど、あらゆるものが含まれます。
3.「扶助」義務
夫婦相互的な経済援助を意味します。夫婦は同居して共同生活を維持するのですから、もし、相手方が要扶養状態に陥ってしまった場合には、相手方の生活を自己の生活と同じように保持する義務があります。
4.「貞操」義務
民法の条文に規定はありませんが、重婚が禁止され(民法732条)、同居協力扶助義務が規定され(前掲:民法752条)、そして不貞行為(夫または妻以外の人と性的関係を持つこと)が離婚原因になることから(前掲:民法770条1項1号)、また、一夫一妻制という結婚の本質から、夫婦は相互に貞操義務を負うとされます。
離婚制度の創設
このように、結婚をすると、「同居」「協力」「扶助」そして「貞操」など、夫婦双方に義務が発生します。
しかし、夫婦といえども、もとは赤の他人です。しかも、異性です。結婚生活に不和が起こることはある意味必然といえます。不仲な状況になった場合は、夫婦互いに円満な関係を回復するように努めることになるわけですが、時と場合によっては回復不可能な状況もありえます(いわゆる「破綻」の状態)。
前述の夫婦の4つの義務を果たすことが困難な、破綻した状況で結婚生活を続けても、パートナー以外の者と性的関係を生んでしまうような婚姻の価値をかえって否定することにもなりかねません。そこで、民法は離婚制度を規定しました。
2つの離婚制度
民法が定める離婚は、夫婦の間に合意がまとまり、それを戸籍法で定めるところに従い届け出ることによって成立する協議離婚(民法763条)と、民法の定める一定の離婚原因がある場合に離婚の訴えが認められ、判決によって成立する裁判離婚(前掲:民法770条)の2つがあります。
民法763条(協議上の離婚)
夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。
離婚制度の「目的」
離婚法の第一の目的は、破綻した、形だけの婚姻から当事者を解放し、再婚や自立の自由を保障することにあります。
冒頭の記事によると、お二人の離婚の原因は、「人生観の違い」のようです。そして、それぞれの人生観を追求するために、蓮舫議員は引き続き東京に住み、元夫の村田さんは既に東京を離れて暮らしているとのことです。
結婚生活を続けながら、人生観の違いが原因で別居をすることは、夫婦間の「同居義務」を果たしているとはいえません。また、離婚の目的である「自立の自由の保障」という観点からも、お二人が下した結論は妥当と考えます。
もし、結婚生活を続けるか、それとも終止符を打って離婚に踏み切るか迷っている方は、今回ご紹介した、民法が規定する夫婦の4つの義務を果たすことが今後可能なのか考えてみることをお勧めします。その上で、夫婦互いに十分話し合い、二人にとっての最善の結論を出してみてはいかがでしょうか。