PGAツアーが「新ツアー」に対し、露骨な対抗策!?事態は想像以上に深刻で辛辣!?
PGAツアーがサウジ・マネーによる「新ツアー」に対し、露骨な対抗策を打ち出そうとしている。
現状では、まだPGAツアーからは公式発表は行なわれていないが、米ゴルフウィーク誌が確かな情報として報じている。
それによると、PGAツアーは2023年の秋以降、欧州、アジア、中東を舞台に毎年4~6試合の新たな「インターナショナル・トーナメント」を創設する予定だという。それらの大会は高額賞金をあらかじめ約束し、1試合50~60名の少数限定で、予選カットなしのストロークプレー個人戦以外にチーム戦も含まれているという。
この内容は、まさにサウジ・マネーによるSGL(スーパー・ゴルフ・リーグ)が予定しているものとそっくりであり、どこからどう見ても、PGAツアーが「目には目を」のつもりで創設しようとしていると考えられる。
PGAツアーの現行スケジュールでは、フェデックスカップのプレーオフ・シリーズが9月上旬に終了すると、すぐさま新シーズンの開幕シリーズが始まるが、トッププレーヤーの多くは開幕シリーズにはあまり出場せず、年明けまでオフを取る傾向がある。
そのタイミングを狙って、欧州、アジア、中東で、高額保証の大会を開き、トッププレーヤーやスタープレーヤーを引き付けようというのが、今回の新たなインターナショナル・トーナメント創設の目的である。
高額保証とは「高額のアピアランスフィー+高額賞金」ということになるだろう。日ごろはオフを取っているトッププレーヤーたちも、高額が保証されているのなら出ようと思うかもしれない。が、それより何より、PGAツアーが目論んでいるのは、そうした「美味しい大会」を創設することでトッププレーヤーたちが「新ツアー」に流れないよう、繋ぎ止めることだ。
「新ツアー」が潤沢なサウジ・マネーによってスター選手を引き込もうとしているのだから、PGAツアーもそれに対抗して高額マネーの魅力でスター選手を繋ぎ止める策を打ち出したということ。まさに「目には目を」である。
すでにPGAツアーは今年からPIP(プレーヤー・インパクト・プログラム)なる新ボーナス制度を創設。グーグル検索やSNS上の登場頻度などに基づく「アピール度」をランキング化して、1位の選手には8ミリオン(800万ドル)、総額40ミリオン(4000万ドル)をオファーするという内容は、これまたスター選手を繋ぎ止めるための施策である。
さらにPGAツアーは欧州ツアーと部分的提携を結び、米欧が結束することで「新ツアー」に対抗しようとしている。そして欧州ツアーは2022年からは「DPワールド・ツアー」と名称を変更し、ドバイ・マネーの力を借りて、サウジ・マネーに対抗しようとしている。
もはやPGAツアー、いや、米欧両ツアーと「新ツアー」が真っ向から対立、対抗する戦争状態が始まっていると考えるべき。事態は想像以上に深刻で辛辣だと言わざるを得ず、今後の推移から目が離せない。