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専業と兼業で主婦の家事時間にどれほど違いが生じるのか

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 家事に時間をかけたいが、パートが忙しくて……

フルタイムで働く主婦も3割は「1日4時間以上家事してます」

一人暮らしでは当人が行うのが原則となる家事だが、夫婦になると「夫が就業、妻が家事」という役割分担が基本。もっとも最近では共働きの事例も多く、妻に家事と就業の双方の負担が背負わされるため、夫の家事参加も求められるようになった。そこで国立社会保障・人口問題研究所による「全国家庭動向調査」の結果をもとに、妻の家事にかかわる時間動向の現状を確認していくことにする。

まずは妻の就業状況による家事時間の違いについて。1日は24時間しかないがため、働く時間が長くなればなるほど、家事の時間が減ってしまうのは道理ではある。

↑ 妻の従業上の地位別にみた妻の家事時間(平日、2013年)
↑ 妻の従業上の地位別にみた妻の家事時間(平日、2013年)
↑ 妻の従業上の地位別にみた妻の家事時間(平均・分)(平日)
↑ 妻の従業上の地位別にみた妻の家事時間(平均・分)(平日)

専業主婦と常勤主婦との間には2倍近い家事時間の違いが生じている。今データは「平日」の家事時間を示したものだが、「休日」における従業上の地位別家事時間は無い。ただし、妻の年齢階層別のデータ(こちらは「平日」「休日」双方が用意されている)を元資料で確認すると、20代・30代では平休日の差は数分程度だが、パートに勤めることが多い40代・50代となると数十分単位で休日の方が長い、「平日よりも休日の方が家事時間が大きく増加する」傾向にあることが分かる。就業女性は休日で、平日のいきわたらない家事を補完しているようだ。

一方、常勤で働く妻でも、29.2%は「平日に」4時間以上家事をこなしていることになる。ケースバイケースだが往々にして、自宅での時間はほぼ家事で費やされる計算。ましてや「8時間以上」の人など睡眠時間がいかほどか、想像するに心配が募るばかり。もっとも「常勤」の内容も多種多様で、例えば半日作業が常という場合も考えられるが。

夫の帰宅が遅れると家事時間も伸びる!?

それでは夫の帰宅時間と妻の家事時間にはどのような関係があるのだろうか。指摘されると興味深い話ではあるが、実情としては夫の帰宅時間が遅いほど、妻の家事時間が長くなる傾向が確認できる。

↑ 夫の帰宅時間帯別にみた妻の平日の家事時間(2013年、平日)
↑ 夫の帰宅時間帯別にみた妻の平日の家事時間(2013年、平日)
 ↑ 夫の帰宅時間帯別にみた妻の平日の家事時間(平均・分)(2013年)
↑ 夫の帰宅時間帯別にみた妻の平日の家事時間(平均・分)(2013年)

17時から19時台帰宅と、22時から23時台帰宅の間では、平日の家事時間は52分もの差が生じる。夫の帰宅が遅くなる=その間は家事に従事する場面が増える、夫の家事分担場面が減るとの構図を想定すれば、この長時間ぶりも理解は出来る。妻の家事上の負担を減らす要件の一つとして、「夫が帰宅時間を早めにする(事で夫にも家事分担の機会を増やす)」のも十分有意義な手法として想定できる(あくまでも相関関係から想像した因果関係による仮説だが)。特に22時から23時台においては妻の17.3%もが1日8時間以上の家事に従事しており、その苦労ぶりがうかがえる。

現実問題としては夫が従事している仕事の事情、会社内の付き合いもあり、夫の帰宅時間は思う通りにならない場合も多い。しかし帰宅時間が早ければ早いほど、妻の負担も減り得るという実態が頭にあれば、足取りも早くなるのではないだろうか。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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