【御殿場市】趣のある場所でおいしい和菓子をありのままに、素朴に、無骨に味わう…『とらや工房』
1969年、建築家吉田五十八の建築美学の到達点のひとつと言われている首相の岸信介の自宅。伝統的な数奇屋建築美と住まいとしての機能の両立を目指したと言われる邸宅は、30年ほどの時を経て、御殿場市に寄贈され一般公開されました。
御殿場のゆたかな自然のなかで、歴史を刻みつづける邸宅と庭園。『とらや工房』はその趣ある庭園の中にあります。
駐車場から1分もかからずに山門へ到着します。竹林に囲まれた山門は、昔話の入り口みたい!雨上がりのしっとりとした空気の中、閑静な小道に木漏れ日が差し込みます。
そんな趣のある小道を歩いて行くと、歴史ある場所に自然と溶け込んだモダンな建物が『とらや工房』です。
建物はガラス張りになっていて、お菓子を手作りされている様子を見ることができます。
確保した席表示用に置いて置けるサイコロのようなものが用意され、買ったのに席がない!という状況や、バッグなどで席取りをして盗難!なんてことのないように配慮されています。
席を確保した上で、注文できるので安心です。私の前には10人近くの方が並んでいましたが、店員さんの迅速な対応であっという間に順番が回って来ました。
『どら焼き(小倉餡)煎茶セット(¥600)』と『お汁粉(¥800)』、『甘酒(¥300)』を注文しました。どら焼きはさわらの木箱から、店員さんが手際良く用意してくれて、レジを挟んで向かい側で煎茶を頂き、先ほど確保した席に付きます。
レジがある建物内は広く10席以上はあったと思います。奥に進むとテラス席が6席。気持ち良さそうでしたが雨上がりで濡れていたので使用している方はいませんでした。テラス席を越すと、奥には更にカフェスペースがあり、こちらにも10席ほどありました。
私は奥のカフェスペースに座りました。木のぬくもりのある建物にある大きな窓からは自然の景色を眺めることができ、森林浴をしている気分です。
『どら焼き』の餡は自然な甘味で深みのある味です。餡同士の繋がりも硬過ぎず、柔らか過ぎず、丁度良い歯ごたえ。ふわふわの生地は御殿場産のさくらたまごを使用しているのだそう。やや甘い生地と上品な甘さの餡は相性ばっちり!
またオリジナルブレンドの煎茶は地元の老舗茶舗『荒井園』さんの新茶だそう。深みのある濃いお茶は、和菓子に合います。光に照らされるとお茶の表面には毛茸が浮いています。一見埃のようにも見えますが、毛茸が浮いているお茶は若く柔らかな新芽を使った上等なお茶の証拠!上等な新茶が、おかわり自由で飲めるのも嬉しいです。
どら焼きを味わい終わる前に、『お汁粉』と『甘酒』を店員さんが運んできてくれました。
『お汁粉』は口の中に入れ、舌で軽く押すとほろりと小豆がほぐれ口の中にほのかな甘味が広がり、まるで「高級な寿司のような小豆」!です。甘味が強めの汁、ほろっとくずれる小豆、軽く焼かれた香ばしい餅は絶妙です。
『甘酒』は細かな米麹なので、口の中に麹のカスが残ることもなく、さらっとしたのどごしです。かなり甘さがあるので、飲み物としてよりは、甘味として飲んだ方が良さそう。飲み物×飲み物になってしまいますが、煎茶と合わせて注文した方が味わいを堪能できると個人的に思いました。
和の風情と自然の調和が取れた上品な空間で、古き良き和菓子屋の原点を感じつつ、時を忘れて嗜む和菓子は贅沢の極み。
食べ終わってからも、この空間を味わいたくて、敷地内をゆっくり散歩してから、現実に戻る山門をくぐりました。
とらや工房
住所:御殿場市東山1022⁻1
TEL:0550-81-2233
営業時間:4月~9月 10:00~18:00
10月~3月 10:00~17:00
*売り切れ次第終了
定休日:火曜日(祝日の場合は翌日)年末年始